2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性上皮の腫瘍化における歯の発生プログラム制御機構の異常に関する研究
Project/Area Number |
20592194
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊本 裕行 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 教授 (70215028)
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Keywords | 歯原性腫瘍 / 歯の発生 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
歯原性上皮の腫瘍化や細胞分化における歯の発生プログラム制御因子の影響を解明するため、様々な発生過程で細胞分化や運命決定に関わるNotchとそのリガンドについて検索した。 1. 方法 : エナメル上皮腫32例(濾胞型18例、叢状型14例 ; 棘細胞腫亜型8例、顆粒細胞亜型4例を含む)と対照の歯胚9例を用い、Notch1, 2, 3およびDeltal, Jagged1の発現についてRT-PCR法およびin situ hybridization法により解析した。 2. RT-PCR法の結果 : 全ての歯原性組織においてNotch1, 2, 3, Deltal, Jagged1のmRNA発現が認められた。 3. in situ hybridization法の結果 : 歯胚では、Notch1, 2, 3は内エナメル上皮を除く歯原性上皮にみられ、Delta1, Jagged1の発現は内エナメル上皮で他の上皮成分より低かった。エナメル上皮腫では、Notch1, 2, 3, Delta1, Jagged1は胞巣中央部の腫瘍細胞にみられ、Notch2, Delta1, Jagged1は辺縁部の腫瘍細胞でも発現する症例があった。角化や顆粒細胞化を伴う腫瘍細胞でNotch1, 2, 3, Delta1, Jagged1の発現はみられなかった。これらのNotchシグナル伝達分子は、歯胚の間葉成分やエナメル上皮腫の間質でも弱く発現した。 4. 考察 : 歯胚・エナメル上皮腫におけるNotchとそのリガンドの発現より、Notchシグナル伝達が歯原性上皮の細胞分化や増殖の制御に関わることが示唆された。
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Research Products
(4 results)