2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症および骨代謝におけるプロスタサイクリンの役割と作用機序の解明
Project/Area Number |
20592196
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横山 知永子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (90200914)
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Keywords | プロスタグランジン / プロスタサイクリン / 骨 / 炎症 / 血管障害 |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI_2)は、血小板の凝集抑制作用、平滑筋弛緩作用、細胞増殖抑制能を持つ強力な生理活性脂質で、アラキドン酸にシクロオキシゲナーゼが作用して産生されたプロスタグランジン(PG)H_2からPGI_2合成酵素によって産生される。PGI_2は細胞膜上のPGI_2受容体だけでなく核内受容体であるPPARδの内在性リガンドとして作用しており、炎症との関連が注目されているが、その詳細は不明である。我々は、腎血管障害を発症するPGI_2欠損マウス(PGI合成酵素(PGIS)-/-)やその細胞を用いて、PGI_2の炎症や骨代謝への関与を見出しつつある。本研究では、これらの詳細な作用機序を明らかにすることを目的とし、本年度は主に骨代謝ならびに関節炎におけるPGI_2の作用ついて検討した。 pQCT解析の結果、PGIS-/-の骨密度は加齢に伴い上昇した。34週齢マウスの脛骨を用いてマイクロCT解析を行った結果、PGIS-/-の骨梁BV/TV値はヘテロ接合体(PGIS+/-)と比較して有意に高値を示した。さらに組織形態を観察したところ、PGIS-/-は、骨形成ならびに骨吸収のいずれのパラメーターもPGIS+/-の約2倍高い値を示した。また、血清中のオステオカルシンとCTxを測定した結果、いずれも高値を示し、組織形態解析の結果と一致した。これらのことから、PGI_2は長期にわたる骨量や微細構築の維持に関与していると考えられる。 Balb/cA系統マウスに9回戻し交配したPGIS-/-と野生型を用いて、2型コラーゲン抗体誘発関節炎実験を行った。予想に反して発症率が低く、発症率ならびに病態スコアのいずれもPGIS-/-と野生型の間で有意差は認められなかった。
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