2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌の線毛タンパクに局在する機能領域の同定と臨床応用への検討
Project/Area Number |
20592198
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森崎 市治郎 Osaka University, 歯学部附属病院, 教授 (30116115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 茂久 大阪大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00283797)
村上 旬平 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70362689)
|
Keywords | 免疫 / 感染 / 炎症 / 歯学 / 歯周病 / オートファジー |
Research Abstract |
最も有力な歯周病菌と考えられているP. gingivalisは、宿主細胞への強力な付着・侵入能を有しており、この性質は本菌の病原性発揮に重要な役割を果たしていると考えられている。近年、P. gingivalisが歯肉細胞に侵入し、その中で細胞傷害性を発揮することが、歯周病を慢性化させる要因の一つと推測されている。臨床研究では、歯周病患者の歯肉細胞内から、常に歯周病菌が検出されているが、歯周病菌がどのいように細胞内で生存しつつ、慢性炎症を進行させているかは全く不明である。 我々は既に、P. gingivalisが菌体表層の線維状構造体である線毛を介して、細胞表層のα5β1インテグリンに付着し、Lipid raftを経由したエンドサイトーシス経路により細胞内侵入を果たすことを見出している。本年は、P. gingivalisが宿主細胞に侵入後の細胞内動態について検討した。 その結果、細胞の自己成分分解・再利用に関与しているオートファジーが、P. gingivalisの細胞内動態に密接に関与していることが明らかとなった。P. gingivalisはエンドサイトーシスによる細胞膜の陥入により細胞内に取り込まれ、その後、オートファゴゾームに取り込まれ捕捉される。さらに、ほとんどの細胞内侵入菌は、オートファゴゾームにリソソームが融合.したオートリソソームへと移送されることが示された。そのあと侵入菌はオートリソソーム内で消化・分解を受けていると考えられるが、更なる検証が必要である。 これまで、エンドサイトーシス経路がP. gingivalisを分解する主なメカニズムだと考えられていたが、本年度の研究により、細胞内に侵入したP. gingivalisに対する細胞防御機構としてのオートファジーの関与が示唆され、歯周病細菌に対する自然免疫応答の新しいメカニズムが示唆された。
|
Research Products
(3 results)