2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図と拡散MRIを用いた,嚥下障害患者の認知障害に対する治療法の開発
Project/Area Number |
20592202
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長崎 信一 (山田 信一) Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10263724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 峰加 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00444688)
谷本 啓二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10116626)
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Keywords | 脳磁図 / 食物認知 / 事象関連脱同期 / Wernicke領域 |
Research Abstract |
本年度の実地計画予定は食物認知の課題作成とそれを用いて,食物認知の過程の解明であった。 食物認知課題は視覚提示による食物と非食物の鑑別として,単語(ひらがな:3文字)と絵(イラスト:3D空間認知機能が賦活されにくい)をアトランダムに提示する2X2のブロック課題を作成した。 食物認知の過程の解明は,この課題を肥っていない健常成人女性(全て右利き)15人に対して行い,脳磁計を用いて大脳活動を測定した。誘発脳磁場による部位推定では,食物や非食物の単語提示では視覚背側路と比較してやや視覚腹側路が多い結果となったが,食物や非食物の絵提示では両経路に差がなかった。一方で事象関連脱同期優位は上側頭回後端領域で提示法に関係なく,β帯域で食物提示の方が非食物提示と比較して左側優位であった。左側の上側頭回後端領域は言葉の認知に関わるWernicke領域であり,食物の絵提示でも,同部が優位になったことは,食べ物においては肯定的な判断に関与している可能性がある事を示唆している。脳梗塞患者の中でWernicke領域の機能不全はしばしば遭遇するので,嚥下指導で彼らがはたして瞬時に食物と理解して指導を受けているのかどうか疑問を提示した点で意義や重要性があると考える。 この脳磁図による脳機能結果をMRIでも推定するために,拡散MRIは上記のボランティアの内5人で行い,視覚路のトラクトグラフィを作成した。視覚経路の神経走行の描出は不完全ながら可能になった。しかし,神経管の太さは,原理よりMRIの最小空間内における一番多い方向の一つに代表されるので,神経管の太さに代わる指標を現在研究中である。
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