2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症薬開発に向けた唾液蛋白質ヒスタチンの機能解明
Project/Area Number |
20592210
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
今村 泰弘 Matsumoto Dental University, 歯学部, 講師 (00339136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 佳久 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80367523)
荒 敏昭 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90387423)
王 宝禮 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
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Keywords | ヒスタチン / 唾液蛋白質 / 熱ショック蛋白質 / 細胞増殖 / Toll様受容体 |
Research Abstract |
歯周疾患発症原因として環境要因が挙げられ、歯周病原菌の刺激が歯と軟組織の付着破壊、結合組織や硬組織の破壊を誘導する。これらは宿主細胞間の複雑な相互作用によって惹起され、慢性炎症性疾患となる。自然免疫に関わる唾液蛋白質ヒスタチンは、歯周病原因菌やカンジダ菌などの抗菌作用や歯周病原菌由来コラゲナーゼ活性を阻害する。 これまでに、ヒスタチンと結合する宿主蛋白質として、シャペロン分子である熱ショック蛋白質を見出した。熱ショック蛋白質は細胞増殖と関係するため、ヒスタチンによるヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)の増殖・生存をBrdU取込によるDNA合成及びMTTアッセイによりそれぞれ調べたところ、ヒスタチンの量依存的に促進された。また、このDNA合成はHGFsの熱処理により促進された。本研究では、熱ショック蛋白質と結合する非特異的ポリペプチドがHGFsの増殖に影響を及ぼさないこと、ヒスタチンによるHGFsの増殖は、熱ショック蛋白質と結合する免疫抑制剤デオキシスパガリン存在下で低下することを明らかにした。また、GO期に同調したHGFsにヒスタチンを添加すると、細胞周期関連因子サイクリンD1及びCDK2の発現が促進された。これらの結果は、ヒスタチンと熱ショック蛋白質の結合がHGFsの増殖に必要であり、細胞周期関連因子の発現と密接に関わっている可能性が示唆された。 熱ショック蛋白質はToll様受容体(TLR)のリガンドとして働き、炎症性サイトカイン産生に関与する。口腔内炎症や損傷に伴って細胞から熱ショック蛋白質が放出されることにより、炎症が亢進される可能性がある。ヒスタチンが熱ショック蛋白質に結合することにより、TLRシグナルが抑制されること、熱ショック蛋白質がTLRのリガンドとして働くためには、TLR補助受容体であるCD14やMD2が必要であることを示唆した。現在、更に詳細な検討を行っている。
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Research Products
(1 results)