2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症薬開発に向けた唾液蛋白質ヒスタチンの機能解明
Project/Area Number |
20592210
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
今村 泰弘 Matsumoto Dental University, 歯学部, 講師 (00339136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒 敏昭 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90387423)
藤波 義明 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80392801)
王 宝禮 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
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Keywords | ヒスタチン / 唾液蛋白質 / 熱ショック蛋白質 / 細胞増殖 / Toll様受容体 |
Research Abstract |
歯周疾患発症には口腔内細菌の影響がある。歯周病原菌の刺激が硬・軟・結合組織の破壊を誘導する。これらは宿主の細胞間相互作用で惹起され、慢性の炎症を呈する。ヒスタチンは歯周病原菌などに対する抗菌作用や歯周病原菌由来コラゲナーゼを阻害する自然免疫関連唾液蛋白質である。現在、ヒスタチンの宿主に与える影響は殆ど明らかにされていない。 ヒスタチンによるヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)の増殖・生存をDNA合成及びMTTアッセイによりそれぞれ調べたところ、ヒスタチン量依存的に促進された。これは、ヒスタチンが宿主由来熱ショック蛋白質と結合することによる可能性が示唆された。本研究では、siRNAによりRNA干渉させた熱ショック蛋白質ノックダウンHGFsにヒスタチンを添加しても細胞増殖が促進されなかった。分子シャペロンである熱ショック蛋白質は細胞周期関連因子CDK/サイクリン阻害因子p27と結合するが、これはATP存在下で解離する。ヒスタチンはこの複合体と相互作用し、ATPによる複合体解離効果を抑制させた。熱ショック蛋白質変異体D10Nは、ATP及びヒスタチン存在下でp27と結合しなかった。以上の結果は、ヒスタチン/熱ショック蛋白質複合体とp27の結合がG1/S期への移行、及び細胞増殖促進を示唆した。 Toll様受容体(TLR)のリガンドには熱ショック蛋白質があり、炎症性サイトカイン産生に関与する。熱ショック蛋白質は口腔内炎症や損傷で細胞から放出され、炎症亢進の可能性がある。これまでに、ヒスタチンによる熱ショック蛋白質のリガンド効果抑制を明らかにした。熱ショック蛋白質と結合するデオキシスバガリン存在下では、ヒスタチンによる熱ショック蛋白質のリガンド効果抑制が認められなかった。これは、ヒスタチンが熱ショック蛋白質に対して優位に働くことを意味する。現在、更に詳細な検討を行っている。
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Research Products
(3 results)