2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性歯周炎進展機序におけるT細胞浸潤の役割についての解明
Project/Area Number |
20592213
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
合田 征司 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70351476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 英資 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50454559)
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (60115889)
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Keywords | 歯学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 蛋白質 |
Research Abstract |
歯周炎の発症や進展には、T細胞の活性化機序を解明することが不可欠である。そこで、我々は、慢性歯周炎局所に発現が見られる炎症性ケモカインCXCL12(SDF-α1)による、T細胞の組織浸潤機序について解明するために、CXCL12刺激によりT細胞の結合組織主成分であるコラーゲンゲルへの浸潤の増強を明らかにした。コラーゲンゲルへのT細胞浸潤はマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1)に依存し、T細胞により産生されたMMP-1は、T細胞膜上のbeta-1 integrinに結合し、結合することにより活性化されてコラーゲンを分解する事を明らかした。さらに、CXCL12刺激によりnon-receptor tyrosine kinaseであるJAKのリン酸化が増強する。JAK knock down T細胞を作製し、コラーゲンの分解能、MMP-1の産生能を検討した。JAK knock down T細胞は、コラーゲンへの浸潤能および分解能は抑制されたが、MMP-1産生能には影響を認めなかった。MMP-3およびMMP-8などのI型コラーゲン分解酵素産生について検討したが、影響は認められなかった。 以上の結果からT細胞のコラーゲンゲルの浸潤能はMMP-1の産生ではなく、インテグリンとの結合に依存する可能性が示唆された。そこでさらに我々は、JAKの活性化とインテグリンの活性化について検討を行うために、共焦点レーザー顕微鏡でMMP-1とインテグリンを観察した。MMP-1とインテグリンはCXCL12刺激により特異的に結合する事が明らかとなった。 本研究により、歯周炎の発症に関与するT細胞の炎症組織への浸潤におけるメカニズムが解明された。
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