2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592236
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木下 潤一朗 昭和大学, 歯学部, 講師 (90360122)
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Keywords | 非定型歯痛 / 歯内治療 / 三環系抗うつ薬 / 医原性疼痛 / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
(本研究にて試みる非定型歯痛の治療方法の妥当性を評価する調査的研究方法)歯痛を主訴として当科を受診し、6か月以上痛みが続いており慢性疼痛と診断された40名の担当医(歯内療法を専門とする)に対し痛みの持続時間・痛みの性状や客観的症状に加え、慢性疼痛と身体的要因、環境的要因、心理的要因との関連について、さらに精神科・心療内科への通院歴について調査を行った。 (その結果)患者の65%が女性で、そのうちの約38%が中年層(40~59歳)の主婦であり、男性は35%でほとんどが無職であった。患者が訴える痛みの強さをVRS(Verbal Rating Scale:カテゴリースケール)により評価したところ、中程度の痛みを訴える患者が75%であった。精神科・心療内科への通院歴が全体の30%にみられた。一般的に慢性疼痛は過去に被った損傷の後遺症をベースとしそこに身体的、環境的、心理的要因が加わり痛みを増強させていると言われているので、患者の要求にひきづられた頻回の根管貼薬は医原性の疼痛増幅をきたし、かつ精神科による治療の併用が効果的である可能性が認められた。 (上記仮説に基づいた治療方法の実践)慢性疼痛を主症状とする「非定型歯痛」と診断された46歳女性を本研究の典型的な対象として、(1)残髄、歯根膜感染、根尖周囲歯周組織炎症が無いことの確認、(2)水酸化カルシウムペースト根管貼薬を施し、その後の頻回の根管洗浄を極力避けることによる患歯歯根膜の安静確保、(3)精神科における何種類かの抗うつ剤の服用、を治療方針とした。 (その結果)患者は3か月後には根管充填を受け入れるまでになり、補綴処置を行って予後の経過が良好であった。本研究によって非定型疼痛の成立機序と典型的症状がわかり、精神科の協力による三環系抗うつ剤の服用が患者の慢性疼痛の軽減に劇的に効果を表すことがわかった。
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Research Products
(3 results)