Research Abstract |
光重合型レジンは,その重合硬化に伴って体積を変化させる重合収縮という現象を生じる。重合収縮の発生は,修復物と窩壁との間にギャップを形成し,歯髄刺激あるいは二次齲蝕の原因となるところから,その重合挙動に関しては検討が続けられている。一方,その光重合型レジンの硬化に使用される照射器は,ハロゲンを光源とした照射器に加え,青色LEDを光源とした照射器,さらに青色LEDに加えて低波長域の光線を照射する照射器なども市販されている。また,長波長域の光線は,その硬化深さ,深部の重合率などが高くなる可能性が報告されている。そこで,これら波長分布および光強度の異なる光線の照射初期における重合挙動について,レーザースペックル干渉法を用いて検討した。 光重合型レジンの重合収縮挙動を計測する装置としては,スペックライザST-I(東洋精機製作所)を改良したものを用いた。本装置は,半導体レーザー照射装置,CCDカメラおよびスペックルパターン解析装置から構成されている。 スペックルパターンの測定は,レジンペースト表面から得られたスペックルパターンを照射開始から120秒後まで連続して記録した。 実験条件としては,分光波長分布を470nm以外に長波長域側の515nm,短波長域側の400nmに変更した2条件を設定した。分光波長分布および光強度に関しては,波長別エネルギー分析装置(Li-1800,Li Cor)を用いて測定を行った。 その結果,スペックルパターンの相関は,いずれの波長においても光線照射開始とともに急激に低下して再び上昇したが,その変化は,波長間では明らかな違いは認められなかった。また,470nmと比較して長波長域側の515nm,短波長域側の400nmともに一致度の回復に時間がかかる傾向が認められた。これは光重合型レジンの重合開始剤であるカンファーキノンの吸収光域は390~510nmであるが,そのピークが470nm付近であるためと考えられた。
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