2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周炎の血管内皮細胞による炎症防御機構の解明
Project/Area Number |
20592240
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武市 収 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (10277460)
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Keywords | 歯根肉芽腫 / 血管内皮細胞 / 難治性根尖性歯周炎 / midkine / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 血管内皮カドヘリン / 二重免疫染色 / real time PCR法 |
Research Abstract |
歯根嚢胞と臨床診断され、外科的に摘出された根尖病巣組織を研究試料とした。すなわち、組織を2分割し、一方をホルマリン、他方をパラホルムアルデヒドで固定したのち、それぞれ5μmのパラフィン切片と凍結切片を作製した。 ヘマトキシリン・エオジン重染色を施したところ、重層扁平上皮を含まず、幼弱な血管に富む高度な細胞浸潤を伴う組織を歯根肉芽腫と病理診断し、以下の免疫組織化学的な検索に供した。なお、重層扁平上皮を含む組織を歯根嚢胞と病理診断したが、歯根嚢胞の割合は全体の約14%であった。 抗ヒトmidkine抗体を用いてABC法による免疫染色を行ったところ、その染色性は弱く、高度なmidkine陽性を示さなかったが、血管内皮細胞およびリンパ球に陽性を示した。なおこのmidkine発現は、炎症のない正常な歯肉組織では観察されなかった。誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)抗体を用いて二重染色を行ったところ、midkineとiNOS共に発現している血管内皮細胞が観察された。なお、血管内皮カドヘリン(VE-cadherin)との二重染色を行った結果、著名な相関性を示さなかった。 歯根肉芽腫の凍結切片からRNAを分離し、ヒトmidkineに特異的なPCRプライマーを用いてreal time PCR法を行ったところ、midkine遺伝子の発現を確認した。なお、iNOSおよびVE-cadherin遺伝子発現との相関性は認められなかった。
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