2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周炎の血管内皮細胞による炎症防御機構の解明
Project/Area Number |
20592240
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武市 収 日本大学, 歯学部, 講師 (10277460)
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Keywords | 歯根肉芽種 / chemokine / CXCL12 / CXCL13 / CXCL16 / CX3CL1 / midkine / real time PCR法 |
Research Abstract |
根尖病巣組織をヘマトキシリン・エオジン重染色し、歯根肉芽腫と病理診断したものを試料とした。なお、歯根嚢胞と病理診断したものは、全体の約17%であった。 歯根肉芽腫の凍結切片からRNAを分離し、ヒトchemokine(CXCL12,CXCL13,CXCL16,CX3XL1)に特異的なPCRプライマーを用いてreal time PCR法を行ったところ、これら4種のchemokine遺伝子の発現を確認したが、健常歯肉からの発現は認められなかった。そのため、この4種のchemokineは炎症特異的に発現され、歯根肉芽種の発症に影響している可能性が示唆された。 また、抗ヒトRAGE、AGE、S100抗体を用いてABC法による免疫染色を行ったところ、その発現は強く、マクロファージ、リンパ球、好中球および血管内皮細胞で発現を認めた。加えて、RAGEとAGEまたはS100抗体を用いて、蛍光二重染色法を行ったところ、RAGEを発現する血管内皮細胞血管がAGEを発現している割合は、S100発現の割合よりも有意に高かった。従って、歯根肉芽種では血管内皮細胞が中心となり、RAGE-AGEの結合が生じて炎症を惹起し、遷延に関与している可能性が示唆された。 ヒト臍帯静脈血由来血管内皮細胞をPorphyomonas gingivalis由来LPSで刺激したのちRNAを分離し、ヒトmidkine特異的PCRプライマーを用いたreal time PCR分析を行ったところ、LPS刺激により有意にmidkine遺伝子の発現が向上した。すなわち、歯周病原菌によりmidkineの発現が誘発されることが示唆された。
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