2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨格筋幹細胞を用いた象牙質再生と新規な幹細胞導入治療法の開発
Project/Area Number |
20592244
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 和彦 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (70261013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40064878)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (70469005)
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Keywords | 体性幹細胞 / 骨格筋幹細胞 / 象牙芽細胞 / 象牙質再生 / 幹細胞導入治療法 |
Research Abstract |
歯科領域において、従来のう蝕治療法や覆髄法に代わり、歯質や歯そのものの再生を治療目的とする再生療法の開発が期待されている。近年、歯髄前駆体細胞や歯髄幹細胞などが象牙質の再生に関与することが示唆されたことから、幹細胞を用いた細胞導入治療法は有効な歯の再生療法となる可能性がある。一方、最近、強い再生能力を有するヒト骨格筋組織から多分化能を有した幹細胞の分離・同定が行われ、再生医療への応用が注目されている。これらの幹細胞は、自己複製能と多分化能といった幹細胞の特徴を有している。そこで本研究では、このヒト骨格筋幹細胞(h-SMSCs)を用いた象牙質の再生を目的に、象牙芽細胞への分化のメカニズムについて検討を行う。平成20年度の本研究の具体的到達目標は、h-SMSCsを用いた象牙芽細胞分化へのメカニズムについて基礎的検討を行うことであり、以下の結果を得た。1.h-SMSCsの象牙芽細胞への分化誘導:抗α7integrin抗体とFACSを用いて分取したα7integrin陽性(α7^+)細胞(UCSFから供与)にHanging drop法を施した後、RA(レチノイン酸)存在下で3日問、浮遊培養させ、その後、コラーゲン上に細胞を播種し、BMP-4存在下で7日間培養を行い、象牙芽細胞分化の評価を行った。2.α7^+細胞の象牙芽細胞分化の評価:(1)分化誘導したα7^+細胞の経時的な形態学的変化を光学顕微鏡下で観察した結果、紡錘型から長楕円型への明瞭な形態学的変化が観察された。(2)分化誘導したα7^+細胞からtotal RNA抽出し、象牙芽細胞分化マーカーであるDSPP (象牙質シアロリンタンパク質)、Enamelysinの遺伝子発現をRT-PCR法を用いて観察した結果、著明なDSPPとEnamelysinの遺伝子発現が観察された。(3)象牙芽細胞分化マーカーであるDSP(象牙質シアロタンパク質)の発現を蛍光免疫染色法を用いて観察した結果、長楕円型のDSP陽性細胞が観察された。(4)分化誘導したα7^+細胞の石灰化能をALP染色とAlizarin Red-S染色により観察した結果、両染色に陽性な細胞が観察され,さらに石灰化結節の形成が認められた。
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