2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性ガラス添加試作リン酸カルシウムセメントの歯内治療への応用
Project/Area Number |
20592248
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿南 壽 福岡歯科大学, 歯学部, 教綬 (80158732)
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Keywords | リン酸カルシウムセメント / Bioactive glass / 骨補填材 |
Research Abstract |
一般的な骨欠損としてラットの左右頭頂骨に直径4.3mmの穴をあけ、右側の欠損部にHAPあるいは試作CPCを埋入し、左側の欠損部には何も埋入せず対照とした。術直後・1週・2週・4週後に屠殺しパラフィン切片を作製した。切片に対しHE染色・免疫組織化学的染色を施した。対照群では、1週後に欠損周囲から骨芽細胞による類骨形成を認めたが、欠損の中央部は肉芽組織のままで骨の形成および欠損部の容積の回復は起こらなかった。HAPや試作CPCを充填した群では欠損部の容積が維持され、粒子の周囲には欠損周囲から新生骨が伸びてきた。4週後の新生骨形成量を画像解析により定量したが、HAPと試作CPC間に有意差は無かった。対照群との比較では欠損の中央部では有意にHAPと試作CPCの方が多かったが、欠損辺縁部では対照群の方が有意に多かった。これは、埋入した材料周囲から骨伝導性に骨形成が生じるが材料自身が吸収され骨と置換しない分骨形成量が少なくなってしまうためと考えられた。免疫組織化学的検索では、術後1週に欠損部のHAPや試作CPC表面にBMP陽性細胞配列し、2週ではこれらの細胞が骨芽細胞へと分化しOsterixを発現した。対照群では欠損部にはBMP陽性細胞やOsterix陽性細胞は認められなかった。今回の実験系である頭頂骨は、細胞成分が少なく骨欠損部に生じる肉芽組織中の骨芽細胞前駆細胞も少ないため肉芽組織から分化した骨芽細胞の骨形成による欠損部治癒が生じにくいと推察される。かわりに大腿骨の様に細胞成分の多い実験系を適用してみると、骨形成量・骨形成速度などに差が生じることが予想される。今回の実験では、BAGを含んだ試作CPCは骨欠損部の治癒過程において、HAPとほぼ同程度の骨伝導能を示した。
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