2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯槽骨組織を用いた早期骨粗鬆症診断法の確立 -骨粗鬆症分野への歯科的貢献-
Project/Area Number |
20592259
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 みか子 Niigata University, 医歯学総合病院, 講師 (20361909)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 貞一 朝日大学, 歯学部, 教授 (40160361)
松尾 朗 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70229417)
山田 一穂 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20397152)
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 歯槽骨生検 / 骨代謝マーカー / μCT / 骨形態計測 / 骨塩量 / 成人女性 |
Research Abstract |
骨粗鬆症は、骨が脆くなり骨折し易くなることから、高齢者の"寝たきり"を導くなど大きな社会問題となっている。骨粗鬆症性骨折を未然に防ぎ、高齢女性の健康寿命を延伸させるためには、骨粗鬆症を初期の段階で発見し、早期に予防を開始することも重要である。そこで、歯槽骨を用いて骨粗鬆症の早期診断が可能かを探るため、成人女性歯槽骨の海綿骨骨構造を検索し、全身の骨代謝状態との関連性を検討した。 下顎臼歯部にデンタルインプラント埋入予定の閉経後女性5名(60-75歳、平均年齢65.0歳)と閉経前女性3名(37-48歳、平均年齢44.0歳)の計8名(平均年齢57.1歳)を対象とし、計8試料を検索した。デンタルインプラント埋入手術に先立ち、骨代謝マーカーとして、骨型アルカリフォスファターゼ(ALP)、オステオカルシン(OC)、血中I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)、尿中デオキシピリジノリン(DPD)を測定した。さらに腫骨の骨密度を超音波骨密度測定器を用いて測定した。デンタルインプラント埋入手術中に、トレフィンバーを用いて歯槽骨(直径2-3mm、高さ4-9mm)を円柱状に採取した。μCTを用いて微細骨梁構造を観察し、3D骨梁解析ソフトにて骨形態計測を行った。閉経前と閉経後の2群間の各計測値を分散分析(ANOVA)にて比較検討し、骨代謝マーカー値と歯槽骨微細骨梁構造計測値の相関の有無を単回帰分析にて検討した。 歯槽骨生検試料は上部の緻密骨領域とそれに連続する海綿骨領域から構成されていた。閉経の有無にかかわらず、NTX値と歯槽骨海綿骨領域の骨量(BV/TV)および骨梁幅(Tb.Th)との間には、有意な相関(p=0.02)が認められた。成人女性歯槽骨の海綿骨骨構造は、骨代謝マーカーと呼応していることが示され、骨粗鬆症の早期診断に応用できる可能性が示唆された。
|