2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯槽骨組織を用いた早期骨粗鬆症診断法の確立 -骨粗鬆症分野への歯科的貢献-
Project/Area Number |
20592259
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 みか子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20361909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 貞一 朝日大学, 歯学部, 教授 (40160361)
山田 一穂 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20397152)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 歯槽骨生検 / 骨代謝マーカー / μCT / 骨形態計測 / 骨塩量 / 閉経後女性 |
Research Abstract |
1.下顎臼歯部インプラント埋入予定の女性18名を、閉経前群;5名(23-48歳)、閉経直後群;閉経後5年以内3名(52-58歳)、閉経後群;閉経後6年以上経過10名(60-75歳))の3群に分け、歯槽骨組織と全身の骨代謝状態を検索した。骨代謝マーカーは、骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、オステオカルシン(OC)、血中I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)、尿中デオキシピリジノリン(DPD)を測定し、踵骨の骨密度をQUS法にて測定した。インプラント埋入時に、歯槽骨を円柱状に(φ2-3mm×4-9mm)採取し、高解像度X線マイクロCT装置(μCT)を用いて微細骨梁構造を観察した後、海綿骨の骨形態計測(骨量:BV/TV、骨梁幅:Tb.Th、骨梁数:Tb.N、骨梁間隙:Tb.Sp、骨梁中心距離:Tb.Spac、骨パターンファクター:TBPf、Structure Model Index:SMI)と、骨塩量計測を行った。各計測値を閉経前と閉経直後、閉経後の3群間でKruskal-Wallis rank testにて比較検討し、歯槽骨の各計測値と骨代謝マーカー値との相関の有無をSpearmanの順位相関係数にて検定した。 その結果、歯槽骨は上部の緻密骨とそれに連続する海綿骨から構成されていた。また、3群間の比較では、閉経直後群のBAP、OCは他群に比べ有意に高値を示した。踵骨の骨密度は閉経後で有意に低値を示したが、歯槽骨の海綿骨では、閉経後にBV/TVが有意に低値を示し、Tb.Sp、TBPf、SMIは有意に高値を示した。歯槽骨パラメータと骨代謝マーカーの相関関係を全例で検索した結果、全ての歯槽骨パラメータは、いずれかの骨代謝マーカーと有意な相関関係を有していた。中でも、TBPfとNTX、SMIとBAP、SMIとOCは、ρ>0.7、p<0.01の強い相関が認められた。これらの結果より、成人女性歯槽骨の海綿骨構造および骨塩量は、骨代謝マーカーに呼応する可能性が示された。 2.卵巣摘出サル顎骨における下顎下縁皮質骨の粗霧化が、骨代謝回転の上昇に伴うハバース管の拡大によるものであることを組織学的・X線学的に明らかとし、この結果をまとめて論文を公表した。
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