2010 Fiscal Year Annual Research Report
オールセラミックレストレーションに最適な多機能調和型ナノ複合セラミックスの開発
Project/Area Number |
20592262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 隆志 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (20198211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 一道 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師 (50432547)
関野 徹 東北大学, 多元物質化学研究所, 准教授 (20226658)
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
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Keywords | セラミックス / ジルコニア / シリカ / ナノコンポジット / 強度 / 破壊靭性 / 低温劣化 / 加速試験 |
Research Abstract |
歯科で一般に使用されるイットリア系ジルコニア(Y-TZP)は、口腔内のような低温でも湿潤な環境では劣化が危惧される。本研究の目的は、Y-TZPにシリカを微量添加した新しい材料で試料を製作し、200℃水中で加速劣化試験を行い、従来型のY-TZPとの比較を行うことである。実験の結果、50時間の加速試験後に、従来型のY-TZPでは低温劣化により試料表面が損傷し、強度が50~60%に低下したが、シリカ含有Y-TZPでは、強度の低下は20%以下であった。劣化時間を変化させると、従来型Y-TZPでは加速試験前と5、10時間加速試験後の強度の間に有意差がみられなかったが、20時間以降は強度が有意に低下した。シリカ含有Y-TZPでは、加速試験前と5,10,20時間後の強度の間に有意差はなかった。劣化の指標となる単斜晶の割合は、加速試験前に10%以下であったものが、従来型Y-TZPでは5時間後に62.7%と大きく増加したが、シリカ含有Y-TZPでは、5時間後で18.9%と従来型のY-TZPのような大きな増加はみられなかった。また、このシリカ含有Y-TZPの被切削性と切削後の劣化についても検討した。シリカ含有Y-TZPおよび市販のY-TZPブロックを歯科用CAD/CAMシステムにより切削加工した。その結果、シリカ含有Y-TZPブロックは、市販のY-TZPブロックと同様にチッピングなしに切削加工が行えた。さらに、加工後に加速劣化試験を行っても、シリカ添加Y-TZPでは市販Y-TZPよりも単斜晶の増加がはるかに少なく、加工物の破折抵抗も低下しなかった。 以上の結果より、微量のシリカを添加したY-TZPは従来型のY-TZPよりはるかに低温劣化しにくい性質をもち、歯科用として有望な材料であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)