2008 Fiscal Year Annual Research Report
上顎無歯顎者への低侵襲インプラント治療のための生体力学的プロトコールの確立
Project/Area Number |
20592272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松下 恭之 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (60159150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
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Keywords | インプラント / 生体力学 |
Research Abstract |
上顎無歯顎者へのインプラント治療は、骨量・骨質などの問題から埋入部位の制限や、初期固定を得られにくいという問題点があり、下顎無歯顎と比較してインプラント体の生存率が低い。また、骨増生や骨移植を行った上での多本数の埋入は、高齢者への負担が非常に大きい。このことから、より少ない本数で既存骨を利用したインプラント治療が求められるが、現在、埋入本数、配置、各種アタッチメントの選択基準は確立されておらず、術者の経験や勘によるところが大きいため、早期の解決が必要とされる。 初年度は、CT撮影により得られたDICOMデータから有限要素モデルを作成し、患者個々の顎骨状態に応じたシミュレーションを行った。 80歳男性の上顎無歯顎CTデータをもとに有限要素モデルを作成した.シミュレーション上で6本のインプラントを咬合平面に垂直に,犬歯部,小臼歯部,大臼歯部に埋入し,チタン製上部構造を取り付けた.インプラントと顎骨とは線形弾性体と仮定した.上顎洞の上縁部を完全固定し,インプラント上部構造に咬合力を負荷した,CT値を基に上顎骨内のヤング率の分布を算出し,咬合力負荷時の歪み分布を評価した.結果:高いヤング率の骨質は上顎洞側壁部,上顎結節部,正中口蓋縫合部付近に認められた.歪み分布では,インプラントネック部から先端部周囲の広い範囲に周囲に大きな歪みが認められた.考察および結論:上顎無歯顎では顎骨のヤング率の分布は均等ではなく,インプラントの埋入位置,長さ,傾斜などによって,歪み分布に差が生じると予想される,実際の患者毎のCTをもとに有限要素モデルを作成することによって,インプラント補綴設計の最適化が図れる可能性が示唆された.
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