Research Abstract |
H20年度は,インプラント治療を希望した被験者5名に対して,CT撮影・研究用模型製作後,サージカルガイドを使用して治療計画に従いインプラントの埋入を行った.安静期間を経て,アバットメントを装着後,研究用模型を採得した.さらに,インプラントに付与される荷重に対して,上部構造,インプラント体,周囲歯槽骨などの各部の応力,疲労を予測するため,三次元有限要素解析,コンピュータシミュレーション解析によるバイオメカニックス解析を行った.治療計画と実際のインプラント埋入位置の微妙な差異による影響を修正するために,治療計画で立案した「与えるべき上部構造の形態と咬合状態」を修正した.修正データをもとに,上部構造を製作し装着した.その後,生体計測として,研究用模型の採得と筋電計を使用して数段階の咬みしめを行わせ,同時に咬合力測定用感圧フィルムで各かみしめ強度における咬合荷重の記録を行った.治療計画で立案した咬合状態と生体計測で得られたデータを比較し咬合状態の修正を行った.今回の研究結果では,解析したデータと生体計測のデータ間に,ごくわずかな違いが生じていたが,臨床の場で容易に修正することができた.これは,上部構造製作時に複合的にバイオメカニクス解析をすることで,全く解析していない状態を修正するのと比較すると,容易に,短時間に修正することができ,患者への負担が軽減できることが明らかとなった. 今後,定期的に被験者をリコールし,以下の項目について観察を行う予定である. (1)咬合状態(2)周囲骨の吸収状態(3)コンポーネント連結用スクリューのゆるみ(4)インプラントの動揺度(5)疼痛の有無(6)インプラントの破折の有無(7)患者満足度
|