2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592280
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
櫻井 薫 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20153950)
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Keywords | ストレス / チューイング / 唾液 / コルチゾール / アミラーゼ / s-IgA |
Research Abstract |
これまで我々は、チューイングによる精神的ストレス緩和効果を明らかにしてきた。さらに、チューイング時の運動条件に着目し、チューイング速度の違いがストレス緩和に影響を及ぼすことを報告してきた。そこで今回はチューイング時の力に着目し、ストレス緩和に有効な運動条件を検討するために、咀嚼時の咬合力の違いがストレス状態に及ぼす影響を比較した。 被験者は健常有歯顎者男性20名とした。被験者に20分間安静を保たせた後に、ストレス負荷として暗算を20分間行わせた。その後、10分間のガムチューイングを行わせた。チューイングの条件は被験者の主観による「強い力」、「普通の力」および「弱い力」の3条件とした。チューイング後は20分間の安静を2度保って実験終了とした。 ストレス状態の評価には唾液中のストレスマーカーであるコルチゾール、アミラーゼおよびs-lgAを使用した。チューイング力の確認には筋電計を用いて両側咬筋の1回あたりの筋電図を導出し、筋活動量のピーク値を算出した。 咬筋筋活動のピーク値に、各条件間で差が認められたことから実験条件の妥当性が得られた。また、コルチゾール濃度の変化率は、弱い力のチューイングよりも強い力のチューイングの方が大きく減少した。アミラーゼ活性およびs-IgA分泌率の変化率に差は認められなかった。本研究により、チューイング力の違いが内分泌系のストレス指標であるコルチゾール濃度に影響を与えることを示し、強いチューイングは弱いチューイングと比較して精神的ストレスの緩和に効果的であることが明らかとなった。
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