2008 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子が歯髄幹細胞の機能と分化を制御する
Project/Area Number |
20592294
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
呉本 晃一 Osaka Dental University, 歯学部, 助教 (90319583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 照太 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (10103110)
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Keywords | FGF / 歯髄幹細胞 / 象牙質再生 |
Research Abstract |
本研究目的は,線維芽細胞増殖因子(FGF)が歯髄幹細胞の機能と分化に関する役割を解明し,バイオ人工歯根開発/臨床応用へ発展させることにある.本年度はFGFR2b遺伝子ならびにその下流シグナルの歯根形成に与えるメカニズムを明らかにする.本研究には,海外研究協力者であるロサンジェルス子供病院ベルーシ准教授より供与を受けたFGFR2b遺伝子ノックダウンマウスを用いて,FGFR2bシグナルの減弱による歯根形成の表現型について組織学的に検討を行った.実験条件として,マウスの前歯の萌出が完了する出生14日後からFGFR2b遺伝子のノックダウンを開始し,その期間は2・4・8週間とした.この結果,FGFR2b遺伝子ノックダウンによりマウス切歯の根尖部には,新たにエナメル質が形成されないことが明らかとなった.象牙質は,その形成の規則性が大きく乱れることが明らかとなった.またノックダウン開始8週後には上顎切歯は自然脱離することが観察された.この表現型は象牙質形成の乱れが原因であると推察された.免疫化学染色の結果からは,切歯の根尖部には上皮由来の組織は残存していることが確認できた.このことから,FGFR2bシグナルはエナメル質形成に深く関与し,制御していることが明らかとなった.象牙質形成の乱れの原因については明らかではないが,FGFR2b遺伝子の下流シグナルが大きく関与しているものと推察される.以上の結果から,FGFR2b遺伝子ならびにその下流シグナルは,歯(エナメル質・象牙質)の形成において深く関与していることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)