2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ分子凝集構造制御による軟質レジン接着システムの開発
Project/Area Number |
20592296
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
門磨 義則 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 准教授 (00092403)
|
Keywords | 軟質レジン / 金属接着性 / 熱サイクル試験 |
Research Abstract |
歯科用金属と軟質レジン間の接着界面に介在することで接着耐久性を向上させる接着性機能物質の作用や役割を明らかにするために,軟質レジンシステムの構築及びモデル接着試験などにより接着性機能物質の吸着凝集構造が接着耐水性に及ぼす影響について,基礎的なデータを収集することを目的とした.以下にその研究成果を示す. 1)試作軟質粉液レジンの粉成分となる微粒子状のポリマーを調製するために,メタクリル酸エステル系の2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)を主体に検討した.メチルメタクリレートとの共重合体ではTgが低くなるために微粒子が凝集しやすくなることから,Tgを高めるためにEHMAとシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の共重合体を合成した. 2)モノマー液成分にEHMAを用いると,粉成分のEHMA-CHMA共重合体に対して適度な溶解性が得られ,重合開始剤を加えて軟質粉液レジンを試作した. 3)試作レジンの硬化性は緩やかではあるが確実に重合し,硬化時の発熱も低く抑えることができた.粉成分共重合体中のEHMAの割合が多くなるほど軟質性は高くなった. 4)純金の表面をチイラン系の貴金属接着性モノマーで処理後,試作レジンを用いて被着体同士を突き合わせ接着させてから,4と60℃の水中での熱サイクル負荷後の引張接着強さを評価した.熱サイクル0回に対する2000回後の接着強さの維持率は約80%に達し良好な結果が得られた このように,軟質レジンの粉液成分にEHMAを用いることで,接着耐水性が向上することが明らかとなったが,比較研究の中でフッ素系レジンの耐水性が優れていることが認められたので,フッ素化した軟質レジンの導入についても検討する必要がある.
|