2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592297
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
立川 敬子 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 講師 (70236537)
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Keywords | 生分解性ポリマー / ポリ乳酸 / 軟組織再建 / 歯科インプラント |
Research Abstract |
本研究は、生分解性高分子材料を利用して、天然歯およびインプラント周囲に審美的な形状と十分な厚みのある線維性結合組織を誘導することを目的とする。このために、生分解性高分子のステントを作製し、その分解にともなう周囲組織の反応を観察する。線維性結合組織の形成には、ステントが分解される速度と分解産物の量および分子量が大きく影響すると考えられる。したがって、今回はこのコントロールとするために、ポリ乳酸の多孔性ディスクの組織内変化を検討した。 方法: 1. 直径5mm、厚さ2mmに成形したポリ乳酸ディスクを調整する。 2. ラット頚部皮膚に切開を加え、頭蓋骨膜組織にポリ乳酸ディスクを縫合固定する。 3. 観察期間を実験後4, 8, 12, 24週とし、超音波診断装置を用いた皮膚の上からの観察のほか、病理組織学的検討をおこなう。 結果: ポリ乳酸ディスクの表面は粗な結合組織で覆われ、ラット頭蓋骨膜に重ねられた部位は厚い線維性瘢痕で連結しており,スムーズに移行していた.組織学所見では術後8週の標本でポリ乳酸ディスクの中空内部に新生血管と線維組織の浸潤を認め,骨膜とポリ乳酸ディスクとの間の瘢痕による結合が観察された.術後12週・24週の標本でポリ乳酸ディスク内の線維組織増生はさらに進み、骨膜とポリ乳酸ディスクとの間の結合は密になった.また,暗視野像の観察ではポリ乳酸ディスクの融解像は認めなかったが,偏光像では32週標本でポリ乳酸ディスクに劣化が認められた。 今後さらに、分解産物の形状、残留量および分子量の分析をおこなう。
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