2008 Fiscal Year Annual Research Report
極性交互反転電解法によって生成した機能性酸化皮膜と析出するナノ粒子の化学的性状
Project/Area Number |
20592298
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大川 成剛 Niigata University, 医歯学系, 助教 (80143791)
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Keywords | 生体材料 / ナノ粒子 / リン酸カルシウム / 機能性酸化皮膜 / 陽極酸化 |
Research Abstract |
種々の無機イオンを含む電解液中で極性を交互に反転しながらチタンを陽極酸化処理すると,生成した酸化皮膜中に無機イオンを取り込んだ(ドープ)機能性酸化皮膜がチタン表面に生成する場合がある.どのような無機イオンが酸化皮膜中にドープされるかを種々の電解液を用いて検討した.さらに皮膜の化学的特性と皮膜に析出するリン酸カルシウム(CAP)の結晶とその形態を検討するために,カルシウムおよびリンを含む電解液中でチタンを電極として極性反転による陽極酸化処理をおこなった.その結果,電解液としてリン酸やヨウ素酸ナトリウムの水溶液を使用すると,リンおよびヨウ素が酸化皮膜中にそれぞれドープされることがXPSの分析から分かった.ドープされたこれらの元素は,酸化皮膜の表面では5価イオンであり,皮膜最表面から内部に向かうほど5価のイオンが減少し,代わりにそれらの3価のイオンが出現した,これらのイオンは最表面から酸化皮膜厚さのほぼ半分の深さから検出された.イオンの価数の変化から,陽極酸化の際に酸化皮膜の成長とともにドープされたイオンがチタンに還元されたと考えられる.なお,酸性の電解液よりアルカリ性のそれのほうが酸化皮膜中にイオンがドープされやすかった.析出したCAPの結晶とその形態は,電解液pH3,電流密度100mA/cm^2では平均粒径1,000〜2,300nmのアパタイトとブルシャイトが,また電流密度50mA/cm^2以下では平均粒径50nmのブルシャイトの粒子が凝集した100〜200nmの大きさの粒子が析出した.電解液pH2,電流密度100mA/cm^2では,平均粒径130nmのブルシャイト粒子のみが観察された.したがって,電解液のpHおよび電流密度は,析出する結晶相と析出粒子の大きさに影響をおよぼすと考えられる.
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Research Products
(1 results)