2010 Fiscal Year Annual Research Report
極性交互反転電解法によって生成した機能性酸化皮膜と析出するナノ粒子の化学的性状
Project/Area Number |
20592298
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大川 成剛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80143791)
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Keywords | チタン / リン酸カルシウム / 極性交互反転電解 / 機能性酸化皮膜 / 析出機構 |
Research Abstract |
ハイドロキシアパタイト(HAp)を溶解したリン酸水溶液を電解液として,チタンを極性交互反転電解するとナノ粒子のリン酸カルシウム(CAP)が析出した.チタンを極性交互反転電解する際,チタンを正極または負極としてそれぞれ電解(電解電圧は20VDCとした)した.その際に生成される酸化皮膜とCAPの析出挙動を検討した.その結果,チタンが正極の場合は,酸化皮膜が生成するがCAPの析出は観察されなかった.表面分析装置XPSを用いて酸化皮膜の化学的特性を解析したところ,酸化皮膜からはTi,O,OH,H_2OとPが検出された.一方,チタンが負極の場合は,チタン上にCAPの析出が認められた.析出したCAPは,電圧の印加時間が短いとブルッシャイト(DCPD)やモネタイト(DCPA)であった.長時間の電圧印加ではHApが同定された,負極の場合,電解液の還元によって生成された水酸化物イオンとリン酸イオンとが反応し,リン酸イオンの化学種が変わり,これとカルシウムイオンとが反応しDCPDまたはDCPAが析出したと考えられた.電圧の印加時間が長いと,最初に析出したDCPDやDCPAはさらにカルシウムイオンと反応し,それらがHApに転化すると推測した.この転化反応は電解液の温度も寄与すると思われた.極性交互反転において負極から正極に反転した場合,析出したCAPがわずかに溶出する可能性が示唆された.以上のことから,チタンの酸化皮膜の生成および電解によっておこる還元反応とがCAPの析出に大きな役割を演じていると推測された
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Research Products
(1 results)