2011 Fiscal Year Annual Research Report
極性交互反転電解法によって生成した機能性酸化皮膜と析出するナノ粒子の化学的性状
Project/Area Number |
20592298
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大川 成剛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80143791)
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Keywords | チタン / リン酸カルシウム / ハイドロキシアパタイト / 転化反応 / 極性交互反転電解 / 機能性酸化皮膜 |
Research Abstract |
チタンを電極として,CaとPを含む酸性の電解液中で極性交互反転電解をおこなうと電極には酸化皮膜が生成し,電解初期ではBrushite(CaHPO_4・2H_2O,DCPD)とPortlandite(Ca(OH)_2,CH)が析出した.電解時間が長くなると析出したDCPDが消失しHydroxyapatite(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2,HAp)が生成した.そこで極性交互反転電解作用とHApの生成について検討した.電極が正極の時は電極上に酸化皮膜が生成し,XPS分析からTi,O,OH,H_2OとPが検出された.Pは酸化皮膜の表面側ではP^<5+>,金属側ではP^<4+>またはP^<3+>であり,OとPを含む機能性酸化皮膜であった.電極が負極の時はDCPD,CHとHApが析出した.析出反応を解明するために,チタン電極近傍でSb//Ag/AgCl電極を用いてpHを測定した.その結果,電極が負極の時,電極近傍はアルカリ性となった.電解作用によりOH^-イオンが生成されたためであり,pH指示薬においても確認された.電極が正極の時は電解液のpHに大きな変化はなかった.電解液中のリン酸イオン種は,pHに依存し,電極近傍のpHがアルカリ性になるとその付近ではHPO_4^<2->イオンが増加する.したがって,DCPDが析出しやすくなる.またCa^<2+>とOH^-とが反応しCHが析出した.電解によって生成するOH^-イオンがDCPDやCHの析出に寄与していると思われる.また,電解の初期に析出したDCPDにOH^-イオンが作用し,非晶質のリン酸カルシウム(XRDにより確認した)となり,その後HApを生成する転化反応がHApの析出機構と推測した.転化反応には機能性酸化皮膜も寄与していると思われる.HApの結晶粒子はナノメートルオーダーであった.これは酸化皮膜の半導体的性質が電解時の電流を抑制するため結晶成長が抑制されたと考えられる.
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Research Products
(3 results)