2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマイオン注入・成膜法によるアクリルレジン床の表面改質に関する研究
Project/Area Number |
20592300
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
有田 憲司 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20168016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠水 ゆかり 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (70531961)
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Keywords | 歯科材料 / アクリルレジン / 表面改質 / フッ素イオン / 銀イオン / イオン注入・成膜法 / DLC膜 |
Research Abstract |
本研究は,イオン注入技術を用いてF^-およびAg^+を義歯などの材料であるアクリルレジン(PMMA)表面に付与して、細菌の付着掬制および脱離効果の高い表面に改質することを目的としている。本年度は、イオン注入群(FID群;F^-注入、FA g ID群;F^-, Ag^+注入)およびDLC成膜群(F-DLC群;F-^含有、F-DLC+Ag群;F^-, Ag^+含有)の表面物性の分析および抗菌性試験を行った。 1-1. 表面物性の分析 作製試料の色調は,イオン注入群は顕著な変化は認めなかったが、DLC成膜群ではF^-、Ag^+の含有に関わらず薄く褐色に着色が見られた。蒸留水に対する接触角は、対照群(PMMA)は約70度、DLC成膜群は約80度であったが、イオン注入系試料群は110度と極めて高く、細菌の脱離効果を有する可能性が示唆された。 1-2. 表面改質の耐久性の検討 ブラッシング磨耗4,000回後試料の走査型プローブ顕微鏡観察を行い、DLC膜群の表面は粗雑な凹凸を示し、成膜層が剥離した像がみられた。一方、イオン注入群では,DLC膜群に比して表面の凹凸は密で浅く,XPS Wide scan分析でFAgID群は表面にF 1sおよびAg 3dのピークが検出されブラッシング4,000回以上の耐久性を認めた。 2. ATP測定法による抗菌性試験 Staphylococcus aureusを用いて37℃8時間培養後の細菌中のATP(Adenosine Triphospate)の相対発光量を測定し抗菌性を検討した。相対発光量は、対照群に比べてDLC成膜系試料群は差はなかったが、イオン注入群では低下し、とくに、FAgID群は有意に低く(p<0.01)著明な抗菌性(細菌の付着抑制)が認められた。 以上より、PMMAを細菌の付着抑制および脱離効果の高い表面に改質するにはイオン注入法によるF^-、Ag^+同時注入法が最も有効であることが示唆された。
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