2008 Fiscal Year Annual Research Report
新たな痛みの定量評価法の確立と慢性口腔顔面痛における下降性疼痛調整系の役割
Project/Area Number |
20592319
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 雅俊 Tohoku University, 病院, 講師 (70261526)
|
Keywords | 痛み / 口腔顔面痛 / 下降性疼痛調整系 / 慢性疼痛 / 知覚閾値 / 痛覚過敏 / Pain Vision |
Research Abstract |
1 : 慢性口腔顔面痛患者(非定型顔面痛と筋筋膜性疼痛)を対象に痛みの強さをPain Visionで測定した客観的な「痛み度」と主観的な痛み評価法である数値評価尺度の測定結果を比較したところ、両測定値は必ずしも一致しないことが多かった。このことは数値評価尺度が痛みの強さだけでなく、予想以上に慢性疼痛患者の不満など様々な心理社会的要因の総合評価であることが明らかになった。一方、「痛み度」は慢性疼痛の強さの客観的な評価法として有用であることが明らかになった。 2 : 慢性口腔顔面痛患都の顔面の知覚閾値を測定した結果、知覚閾値が低下している症例があった。この知覚低下は痔痛部位だけでなく、同側の他の三叉神経支配域にまで及んでいた。このことは慢性疼痛が神経支配を越えてしばしば発症することの機序に関与している可能性があるとがえる 3 : 慢性疼痛の発症に関与している痛覚過敏であるが、その客観的な評価方法がなかった。定量的痛覚計で疼痛部位に一定の荷重を加えて生じる痛みの強さをPain Visionで「痛み度」として測定することで、痛覚過敏を評価することが可能になるとがえ、現在、検討中である。 4 : 手術等で神経を損傷した後に生じる知覚閾値の上昇程度と主観的な感覚異常の訴えの程度の間に相関はなかった。このことは、知覚異常が必ずしも神経損傷の程度を反映した所見とは言えないことが明らかになった。
|