2008 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨形成術における骨および神経組織変化に関する実験的研究
Project/Area Number |
20592323
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中川 清昌 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (30155676)
|
Keywords | 三叉神経感覚誘発電位 / 骨切り術 / 骨 / 神経 |
Research Abstract |
実際の下顎骨骨切り術施行患者のComputed tomography (CT)画像情報を用い骨切り部位、骨切り範囲の数値化を行うにことにより統計学的に三叉神経感覚誘発電位の分析結果と合わせて解析したところ、神経走行と骨切り部位の大きさ、位置が術後の知覚神経麻痺に関与していることがわかってきた。骨内にも下歯槽神経の分枝が存在しており、その修復回復が骨新生とともに生じるのではないかと考えられる。 実験的研究においては、下顎骨骨切り手術を行っていない家兎において、オトガイ部に刺激電極を設置、オトガイ部知覚領域の脳座標に従って、電極を刺入し、対照としての誘発電位を計測することから試みた。刺激波形、刺激強度、解析時間など過去の報告も参考にしながら三叉神経体性感覚誘発電位(TSEP)の正常波形が再現性をもって計測可能はどうか検証した。非常に微弱な電位であるが、波形を加算することで、潜時、振幅が記録できることを確認した。次に、家兎、下顎臼歯と前歯の間で骨切りし、下歯槽神経血管束に損傷をできるだけ与えないようにした。短縮群では3mmの骨幅を削除し、伸長群では3mm間隙を開けプレートとスクリューでできるだけ強固に固定した。術後3日目、2週、4週、8週、112週においてそれぞれTSEPの測定を行った。個々の家兎についてTSEP波形解析を行っている。また確実にTSEP波形の解析が可能であったものに関して、随時屠殺し、組織学的な検索を行っている。TSEP波形解析結果と組織学的解析結果の関連性は非常に重要であり、実際の組織学的回復状況がTSEP波形にどのように反映するかを現在、分析している。実験動物の電気刺激による下歯槽神経の活動電位波形では、術後、一期的骨片移動を行うことで、潜時の延長と振幅の減少がある傾向があった。組織変化では、軸索、神経鞘の変化と骨再生修復過程の関連性も検討中である。
|