2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨形成術における骨および神経組織変化に関する実験的研究
Project/Area Number |
20592323
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中川 清昌 金沢大学, 医学系, 准教授 (30155676)
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Keywords | 顎変形症 / 顎矯正手術 / 知覚神経麻痺 |
Research Abstract |
顎変形症患者に行われる下顎矢状分割術(SSRO)と骨延長術における神経組織および神経生理学的変化を調べる目的で家兎を使った実験を行ってきた。今年度は4群に分けた実験系でそれぞれ解析ソフトを用い軸索、骨量の面積などを数値化して各群間で客観的に比較検討するため組織学的評価、神経周囲の骨形成細胞に対してPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen:細胞増殖核抗原)およびBMP(Bone Morphogenetic Proteins:骨誘導タンパク)に対する免疫組織化学的染色をLSAB(labelled streptavidin biotin)法に基づいて行った。各材料、各時期における骨形成関連細胞の局在およびBMPの発現等を確認・観察する免疫組織化学的評価について検討を行い、現在最終的な取りまとめを行っている。また、これとは別にスクリューによる下歯槽神経損傷後の治癒についての研究を行った。近年、歯科インプラント治療が臨床において多く行われるようになったが下歯槽神経麻痺の合併症の出現が問題となっている。そこでスクリューによる神経損傷と麻痺との関係、修復の期間について組織学的に家兎を用いて検討した。実験は家兎の右左オトガイ孔部を露出させ、実験側(右側)は、オトガイ孔付近の下歯槽神経にミニスクリューを直接を打ちこみ、神経組織を損傷させ、スクリューを打ち込んだまま創部を縫合した。対照側(左側)は、ミニスクリューを打ち込み、神経組織を損傷させた直後に引き抜き創部を縫合した。術後1、2、4週で、損傷を与えた部位より末梢の神経を摘出した。HE染色を施した組織標本の横断面を用い、単位面積あたりの神経線維の数、直径について左右比較し、組織学的に評価を行った。また抗神経成長因子(NGF)抗体を用いて免疫組織学的に評価を行った。その結果、スクリューを打ち込んだままでも完全な神経断裂を生じなければ術後4週で組織学的に神経組織は回復を示すことが示唆された。
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