Research Abstract |
初年度はin vivoにおける各種因子の空間的,および時間的局在を明らかにするために免疫組織化学的観察を行った.投与薬剤は2,3,7,8-tetrachrolodibenzo dioxin(TCDD)を用い,ICR妊娠マウスの胎生12日目に40μg/kgのTCDD(TCDD群)あるいはオリーブ油(コントロール群)を経口投与し,口蓋形成の各ステージにおいて,形態的観察および各種タンパクの局在を免疫染色で観察した. HE染色による形態的観察では,胎生16日目では,TCDD投与群でもいくつかの個体の口蓋が癒合しており,その硬口蓋部分には通常はみられない上皮塊様組織が認められた.胎生19日頃の出生時には100%の個体が口蓋裂であることから,これらの癒合個体も将来口蓋は解離し,口蓋裂となる個体と考えることができる. 口蓋の解離に関わる因子として,組織強度の不足が考えられたため,細胞間接着分子であるE-cadherin及び関連分子α-catenin,β-cateninの局在を観察した.その結果,対照群では,E-cadherin,α-catenin,β-cateninは上皮索及び,口腔粘膜,鼻腔粘膜上皮に局在していた.一方,TCDD群においてE-cadherin,α-catenin,β-cateninは口腔粘膜上皮での局在は認めたものの,鼻腔粘膜上皮及び口蓋正中の細胞塊部ではE-cadherin,α-cateninの局在は認めず,β-cateninのみが認められた 次年度は,ラミニン,type IVコラーゲン等の免疫染色及び,軟口蓋部分での筋組織の発生状況を観察する予定である.
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