2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨髄由来間葉系細胞を用いた安全・安心な細胞治療を行うための基盤整備研究
Project/Area Number |
20592334
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 康正 Hiroshima University, 病院, 助教 (40423371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 英見 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40161765)
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Keywords | 歯学 / 再生医学 |
Research Abstract |
広島大学病院の細胞治療専用のヒト細胞培養室、細胞治療室において定期的に内部監査、管理体制の維持を行い、施設面の整備を確立させ、その上で、細胞の品質管理、情報管理を徹底した。広島大学病院を受診した顎骨骨折患者および顎変形症患者で、手術適応の患者より採取した骨髄液中に存在する骨髄細胞を含む骨髄液約2mlを遠心後、ESF基礎培地のみ、基礎培地に基本因子を添加したESF6培地、ESF6培地にLIFを添加したマウスES用無血清培地ESF7、あるいは、ESF6培地にFGF-2とヘパリンを添加したESF8培地と混合し、ゼラチンコートしたプラスチックディッシュに播種し、5%CO_2/95%気相下、37℃インキュベーター内で初代培養を試みた。先行研究で開発したマウスES細胞用無血清培地ESF7に、FGF-2およびヘパリンを添加した培地を用いたところ、十分な増殖能を有する骨髄細胞を培養することが可能であった。培養を試みた全38症例中、20症例で初代培養に成功した。また、顎骨骨髄細胞の増殖能における継代数の影響を検討するため、継代6代目および8代目の骨髄細胞の増殖を比較したところ、6代目では十分な増殖を認めたが、8代目の骨髄細胞では十分な増殖が得られなかった。つまり、最長で6ヶ月間の継代維持が可能であったが、長期間継代を続けると細胞増殖が遅くなり、十分な細胞数を得ることができなかった。この結果は、ヒト骨髄由来間葉系細胞はES細胞と異なり無限増殖が出来ないことを示している。採取した骨髄細胞の初代培養の成功率が約53%であったのは、十分な細胞数が含まれていなかった可能性や、細菌感染などの採取時における手技の問題も考えられる。しかし、骨髄中に存在する間葉系幹細胞は少ないと考えられており、今後は細胞増殖が十分に得られる無血清培養条件のさらなる検討を進めていく。
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