2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天性頭蓋・顎・顔面の骨、軟骨異常におけるコレステロール合成系の機能解析研究
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20592336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角 健作 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30403629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 康人 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90363085)
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Keywords | 軟骨分化 / 骨分化 / コレステロール合成 / ステロール代謝 / ATDC5細胞 / MC3T3細胞 / 細胞増殖因子 / sonic hedgehog |
Research Abstract |
コレステロールおよびその前駆物質(C27sterol)がin vitroにおいて種々の機能性細胞の増殖・分化にどのような影響をもたらしているか,あるいはその組成比率がシグナル伝達におよぼす影響についてはほとんど解明されていない。したがって骨および軟骨細胞を使って,コレステロール合成経路の動態変化を研究することは極めて意義深い。本研究では,骨および軟骨細胞の増殖・分化におけるステロール類(コレステロール合成経路における中間代謝物:C27Sterols)がおよぼす影響について検討し,先天性コレステロール合成異常による多発奇形症候群およびSHH-patched系シグナル異常による顎・顔面奇形の病因メカニズムの解明と骨・軟骨疾患の診断および治療法の開発を目的とする。 1.マウス軟骨前駆細胞株ATDC5マウス骨原性細胞株MC3T3の初期および後期分化期におけるコレステロールおよびその前物質(C27sterol)の影響 (1)軟骨細胞への多段階分化が再現可能なATDC5およびMC3T3細胞を用いて、これら細胞に種々の濃度のC27sterolを添加し、培養9,15,21,35日目にALP活性の定量およびトルイジンブルー染色を行い,骨・軟骨分化の程度を比較検討した結果、ラトステロールおよびコレステロールは分化に影響を与えなかったが、デスモステロールおよび7-ヒドロコレステロールは増殖を抑制し分化を促進した。 (2)C27sterolを添加して35日間培養した試料に対して,[2-^<14>C]acetateを加え,この試料から不ケン化脂質を抽出し,メタボローム解析を行ない、ステロール合成能について比較検討した結果、デスモステロールおよび7-ヒドロコレステロールはコレステロール合成を抑制した。 (3)軟骨分化マーカーとしてII型コラーゲンおよびX型コラーゲンの発現を検討した結果、デスモステロールおよび7-ヒドロコレステロールはこれら分かマーカーの発現を促進した。 2.分化過程における各種コレステロール合成酵素遺伝子の発現変動の検索 (1)各分化過程の細胞よりmRNAを抽出し、定量PCR法を用いて、ラノステロールからコレステロールまでの代謝過程に関与する、C14デメチラーゼ、3-ケトリダクターゼ、C4デメチラーゼなどの発現変動について検討した結果、細胞分化誘導過程でこれら酵素遺伝子の発現は著しく低下した。 以上の結果から、コレステロールおよびその前駆物質を外来性に添加することでマウス軟骨前駆細胞の増殖・分化に差異がみられることが明らかとなり、コレステロールおよびその前駆物質(C27sterol)がin vitroにおいて軟骨細胞の増殖・分化に重要な機能を有していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)