2011 Fiscal Year Annual Research Report
PIXE法の微量元素偏在分析による口腔扁平苔癬の病因解明のための基礎的研究
Project/Area Number |
20592342
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
杉山 芳樹 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00162909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 耕一郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00230855)
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Keywords | 歯学 / 臨床 / 分析化学 / 加速器 / 人間生活環境 |
Research Abstract |
本研究は、PIXE法により口腔扁平苔癬患者の病変部口腔粘膜と健常者の口腔粘膜の上皮層、固有層に含まれる金属元素を分析し、これまで推測の域をでなかった同疾患の原因を直接的に証明することを目的とする。 今回の研究に用いた口腔扁平苔癬患者検体数は31例(以下OLP群と略す)であった。内訳は男性8例、女性23例であった。年齢は男性で平均60.9歳(48~73歳)であり、女性は平均58.3歳(31~79歳)であった。一方、対照は健常者の口腔粘膜で(以下健常群の略す)、健常者の性別は男性48例、女性52例で、それぞれの平均年齢は男性が32.5歳(12~77歳)、女性は30.7歳(11~76歳)であった。このOLP群の元素分析結果と健常者100例の分析結果とを比較検討した。 その結果、微量元素の牽出率をみると必須微量元素の牽出率は、健常群と比べOLP群がSi,Mn,Fe,Ni,Asで低い傾向にあり、汚染元素ではAl,Gaが有意に低い牽出率であった。また、各元素の検出量は、Ni,Se,Rbが健常群よりもOLP群の方が有意に低かった。OLP群について各元素の検出量を性別で比較すると、Znが有意に女性に多かったが、他の元素に性差はなかった。口腔扁平苔癬の出現頻度は中年以降の女性に多い。そこで、健常群、OLP群の30歳以上の女性について比較した。その結果、必須元素ではFe,Znが、汚染元素ではAl,Srが健常群よりもOLP群の方が有意に高い検出量を示した。また、Pdは有意差はなかったが、平均値でOLP群は健常群の2倍以上の値を示した。 この結果、口腔扁平苔癬患者の口腔粘膜には必須元素ではFe,Zn,Pdが、汚染元素ではAl,Srが多く存在し、原因金属の可能性が高いと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] High-cell density-induced VCAM1 expression inhibits the migratory ability of mesenchymal stem cells2011
Author(s)
Nishihira, S., Okubo, N., Takahashi, N., Ishiski, A., Sugiyama, Y., Chosa, N.
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Journal Title
Cell Biology International
Volume: 35
Pages: 475-481
Peer Reviewed
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