Research Abstract |
顎骨の骨吸収を惹起する増殖性病変の代表的なものとして,種々の歯原性腫瘍型を取り上げ研究してきた。 今年度には,各種腫瘍性病変における検討結果の最終的まともの時期でもあるので,得られたデータはなるべく多く公表する事に務めた。その結果,エナメル上皮腫の病理発生に着目しつつその細胞分化の方面から研究したものは,Eur J Med Res(15:135-138,2010)に,歯原性扁平上皮腫の細胞分化については,Notch1,3,4とJagged1さらにDelta1について,Eur J Med Res(15:180-184,2010)に,またエナメル上皮腫(線維形成性を含む)にはNotch4が過剰発現している事(Oral Surg 110:224-233,2010;J Oral Pathol39:552-558,2010)を,石灰化嚢胞性歯原性腫瘍や,石灰化歯原性腫瘍におけるNotchの発現状況についても検討し,その過剰発現や文保状況についてはJ Hard Tissue Biol(19:147-152,2010;19:167-174,2010)に印刷公表した。 また,歯原性腫瘍以外の腫瘍型としては,再発した軟骨肉腫についてのNotchシグナルについてその発現状況の側面から追究し,その成果はEur J Med Res(15:456-460,2010)にて公表した。 以上の成果から,顎骨の骨吸収を惹起する増殖性病変の代表的なものとしての歯原性腫瘍やその他の腫瘍型においても,その発生母細胞,母組織の発生時における発現状況と若干異なる事がわかり,腫瘍性を獲得した後においてもNotchシグナルは細胞分化時,腫瘍組織内においてもその細胞性格の相違する部位に良く発現しており,腫瘍細胞の細胞分化に強く働いている事が明らかになった。
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