2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモンが口唇口蓋裂発生に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
20592352
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
新美 照幸 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (60291762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90183532)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
井上 誠 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (50191888)
佐々木 琢磨 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (90109976)
田中 基裕 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (60197481)
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Keywords | ビスフェノールA / 口唇裂 / 先天異常 / 予防 / 胸腺 |
Research Abstract |
エストロゲンおよび環境ホルモンであるビスフェノールAが口唇口蓋裂の発生を抑制する機序を明らかにするために、ビスフェノールAが骨形成・吸収に関与する核内受容体レチノイン酸受容体(RAR)を介した遺伝子発現に及ぼす効果を骨芽細胞様MC3T3-E1細胞を使用して検討した。胎生期の骨格形成において必須の遺伝子であるRunx2(runt-related gene2)はレチノイン酸によりRARを介して発現誘導されることが知られている。そこで、ビスフェノールAがレチノイン酸によるRunx2の発現誘導に及ぼす効果を調べたところ、ビスフェノールAは、レチノイン酸によるRunx2の遺伝子発現に影響を及ぼさなかった。すなわち、ビスフェノールAがエストロゲン受容体を介してRARの遺伝子発現に影響を及ぼす可能性は少ないと考えられた。 次に、エストロゲン作用を有する化合物が口唇口蓋裂の発症を抑制する可能性が示されており、副作用を示さないエストロゲン様化合物はよりよい予防薬になる可能性が考えられる。そこで、新たな予防薬の開発するために、天然創薬資源として各種疾患に使用されている漢方方剤を選び、ルシフェラーゼレポーターアッセイでエストロゲン様化合物のスクリーニングを行った。これまでに、甘草にエストロゲン活性があることを見出しており、さらに、大黄、縮砂、生姜、桃仁、何首烏、知母などに弱いエストロゲン活性が報告されている。そこで、それら生薬を含有しない漢方方剤に注目して探索した結果、当帰、芍薬、川〓、地黄からなる四物湯に活性を見出した。現在、活性成分の単離・同定を進めている。一方、エストロゲン活性を見出した甘草を含む、漢方製剤「芍薬甘草湯」を口唇口蓋裂自然発生モデルA/J系マウスに投与し、実際に口唇口蓋裂の発生を抑制するか否かについても検討中である。今後は薬剤にて誘発された口唇口蓋裂についても同様な抑制効果を示すか否かについても検討していきたい。
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