2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来抗腫瘍生理活性物質の探索と新規抗癌剤開発への応用を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
20592361
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉岡 幸男 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20335665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50152492)
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 海洋生物 / 生理活性物質 / 抗腫瘍効果 / 血管新生 / 転移・浸潤 |
Research Abstract |
〈海洋生物より抽出された物質の精製〉 海洋生物より抽出された天然生理活性物質を精製し扁平上皮癌細胞に対する毒性試験を行い活性のある物質の構造を決定する。日本近海に生息する海洋生物をメタノール/エタノール抽出溶媒によりヘキサン画分、酢酸エチル画分、水画分に分配し抽出された化学物質を精製する。精製された化学物質に対しBioassayを行い活性のある物質の精製を進める。それぞれの画分をThin-layer chromatography (TLC)を用いて分離し、分離された溶解物を構造解析し構造決定する。また側鎖を改良し新規の誘導体を精製する。 (結果)海洋生物より抽出した天然生理活性物質(QPB080201-1~420)420検体について細胞毒性試験をおこなった。扁平上皮癌細胞A431を用いて無血清培養下、最終濃度が5μg/mlおよび0.5μg/mlになるように試薬を調整し各サンプルの抗腫瘍効果を検討した。0.5μg/mlの低濃度でcontrol(DMSO)に対し90%以上の増殖抑制効果がみられたサンプルは42検体であった。さらに低濃度での効果を検討するために、これらの試薬について最終濃度が0.005,0.05.0.5,5μg/mlになるように処理し、無血清培養した。42種類すべてにおいて再現性が得られた。特にOPB080201-173,201,227,237は0.05μg/ml強力な腫瘍増殖抑制効果を示した。 活性物質について精製を進め構造解析をおこなった結果、活性本体はいずれも既知物質であった。OPB080201-35(沖縄産ソフトコーラル酢酸エチル画分)シリカゲル画分AK-I-155-3から3種のプロスタノイドを得たが既知物質であった。OPB080201-93(沖縄産海綿Cliona solida酢酸エチル画分)の強い活性画分GS-I-10-3は、海綿由来既知物質aragusterol Cであり、弱い活性画分は既知物質aragusterol BとCを含む混合物であった。OPB080201-23(沖縄産海綿Petrosia sp.酢酸エチル画分)活性画分AK-I-192-3,192-4を、No.93から得られたaragusterol類とTLCで比較することにより、これらはaragusterol類と考えられた。
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