2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592369
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
芳澤 享子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 由起子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80345511)
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Keywords | 再生医療 / 歯学 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
[目的]私たちはウシ胎仔血清やマウス細胞との共培養をしない培養システムを用いて、ヒト無細胞真皮と口腔粘膜上皮細胞より培養粘膜(EVPOME)を開発し、2000年より臨床応用を開始し現在までに100例以上を経験するとともに、基礎的研究として動物モデルや臨床例よりEVPOMEによる口腔粘膜再生過程について検討してきたが、EVPOMEがどのように粘膜再生に寄与しているのかがいまだ不明である。そこでマウス口腔内移植モデルを用いて、EVPOME移植後の治癒過程について形態学的、免疫組織化学的に検索した。[方法]ヒト口腔粘膜上皮細胞を培養ヒト無細胞真皮(AlloDerm【○!R】)上に播種、重層化させ、EVPOMEを作製し、ヌードマウス頬粘膜欠損創に移植し、経時的に屠殺し、標本を作製した。EVPOMEおよび移植片はホルマリン固定、パラフィン連続切片を作製して組織学的に観察し、さらに上皮細胞マーカーであるヒトサイトケラチン17、基底膜マーカーであるヒトタイプIVコラーゲンを免疫組織化学的に検索した。[結果]EVPOME移植後5日目のシリコン膜除去時ではAlloDerm上に培養上皮細胞が観察され、AlloDermの構成成分である基底膜は上皮層の下面に観察された。移植後7日目では、CK17陽性上皮細胞は剥離し、上皮が存在したと思われる部分のAlloDerm上面にはIV型コラーゲン陽性反応を示した。しかし、それから少し離れたところには2-3層のCK17陰性の上皮細胞層が認められ、同部ではIV型コラーゲン陰性反応であった。このためEVPOMEの上皮細胞は剥離し、同部ではAlloDermの基底膜も消失し、その部位にマウス上皮細胞が伸びだしてきていると考えられた。[考察]EVPOMEの上皮および基底膜は、口腔内移植後、固定と保護の目的で一緒に移植したシリコン膜を除去するまではAlloDerm上に保たれているが.その後上皮細胞の剥離、基底膜の消失が生じ、同部には速やかに周囲粘膜上皮が被覆することが示唆された。そのためAlloDermの基底膜は培養上皮細胞の接着には有効であるが、移植後はAlloDermと同様にリモデリングされると考えられる。
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