2010 Fiscal Year Annual Research Report
全身麻酔要素である鎮痛・不動化作用におけるサブスタンスPの役割
Project/Area Number |
20592373
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
入舩 正浩 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10176521)
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Keywords | 全身麻酔作用 / 正向反射 / 侵害刺激による体動の抑制(不動化) / 鎮痛作用 / 脊髄後根神経節(DRG) / α2-アドレナリン受容体作動薬 / オピオイド受容体作動薬 / サブスタンスP |
Research Abstract |
全身麻酔薬が脳や脊髄に可逆的に作用することにより起こる麻酔状態は,健忘,鎮静,意識消失,鎮痛,侵害刺激に対する体動の抑制(不動化),自律神経反射の抑制などの要素からなる.しかし,これらの各麻酔要素がどのような作用機序を介して生じているのかはよくわかっていない.昨年度の科学研究費補助金実績報告書において,全身麻酔要素の一つである不動化にオピオイド受容体およびα_2アドレナリン受容体の活性化が関係していることを報告した.オピオイド受容体作動薬(morphine)やα_2アドレナリン受容体作動薬(dexmedetomidine)は侵害刺激によって生じる一次知覚神経からのサブスタンスP(SP)遊離を抑制することから,静脈麻酔薬であるpentobarbitalやketamineが脊髄後根神経節(DRG)培養細胞からのSP遊離に影響を及ぼすか,また,morphineやdexmedetomidineがpentobarbitalの不動化を増強するか行動薬理学的に検討した.行動薬理学実験では,実験動物としてddY系成熟雄性マウスを用い,全ての薬物は全身投与した.培養実験では,Wistar系成熟ラットの脊髄からDRG細胞を取り出し初代培養を1週間行った後,capsaicinもしくは高濃度K^+刺激によりDRG細胞からSPを遊離させた.SPはラジオイムノアッセイ法にて測定した.培養実験において,pentobarbitalはcapsaicin刺激によるSP遊離を濃度依存性に抑制したが,高濃度K^+刺激によるSP遊離は抑制しなかった.Ketamineは高濃度でもSP遊離に全く影響しなかった.行動薬理学実験において,morphine(10mg/kg)はpentobarbitalの不動化作用を有意に増強したが,dexmedetomidine(0.45mg/kg)は影響しなかった.以上の結果より,pentobarbitalの不動化には,少なくとも部分的に,SP遊離抑制作用が関係することが示唆された.また,pentobarbitalはmorphineと同様の機序を介して一次知覚神経からのSP遊離を抑制するのかも知れない.
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Research Products
(3 results)