2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳型コンピュータシステムを用いた口腔粘膜疾患診断支援システムの開発
Project/Area Number |
20592376
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
冨永 和宏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40188793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土生 学 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00360058)
中原 孝洋 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60423977)
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Keywords | 口腔粘膜疾患 / ソフトコンピューティング / 診断支援 / 進化的画像処理法 / 確率的弛緩法 |
Research Abstract |
口腔粘膜疾患の臨床的な診断は、日常的にこれを行っている専門医にはそれほど困難ではないが、機会の少ない一般臨床医には難しい場合も少なくない。粘膜疾患の診断は視診が重要なウェイトを占めるため、視覚的な情報だけでも専門医はある程度の判断を下すことができる。コンピューターを利用して一般臨床医の診断を支援できれば、日常の一般臨床の現場に役立つと考えられる。ところで、粘膜疾患は病態にばらつきがあり、人間はそのばらつきを含め全体としての確からしさで判断している。これは従来型のコンピューターには不得手な処理であり、われわれは曖昧さを数学的に取り扱うソフトコンピューティングを用いることで、専門医が行うような診断を、コンピューターの支援のもとに行うシステムを九州工業大学大学院生命体工学研究科脳情報専攻脳型情報処理機械講座脳型計算機研究室と研究している。現在までのところ、口腔扁平苔癬の線条白斑部の自動抽出を行い、ある程度識別させることが出来ている。本年度はその精度を上げ、白斑部抽出の汎用性を高める方法を検討した。実際の粘膜疾患のデジタル画像から白斑部を専門医が手動で描出した画像を素に、遺伝的アルゴリズムを基盤として考案した進化的画像処理法を用いてコンピューターにデジタル画像のフィルタリングを行わせた。その際、自動抽出の過程において、移動平均法ではなく確率的弛緩法を応用することで白斑部の抽出精度の向上を試みた。結果、これまで行なってきた方法よりも白斑の抽出精度を向上させることができた。また、こうして得られた白斑の識別実験を行ったところ、比較的高い線条白斑の識別率が得られた。こうした方法の改善により、単純なデジタル画像からでも、口腔粘膜疾患を高確率でコンピューターに識別させることができる可能性が示された。
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