2011 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経損傷部への嗅神経被膜細胞(OEC)移植の有用性
Project/Area Number |
20592378
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
高田 訓 奥羽大学, 歯学部, 教授 (40254875)
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Keywords | 末梢神経 / 神経損傷 / 嗅神経 / 嗅神経被膜細胞 / 移植 |
Research Abstract |
嗅上皮に存在する嗅神経被膜細胞(OEC ; olfactory ensheathing cells)が有する自己複製能と増殖能が、末梢神経のSchwann細胞や軸索の成長因子や栄養因子として機能するか検索することを目的として研究をすすめた。これまでの報告でOEC移植が脊髄損傷の修復に有用であることが確認されている。そこで末梢神経損傷の修復にも有効であるかを検索するため、ラット下歯槽神経損傷部への同種新鮮OEC移植を試み、Schwann細胞の再生・分化・誘導様相および軸索再生を観察した。 実験動物にはwistar系ラットを用い下歯槽神経切断損傷モデル(奥羽大学歯学誌33:195-206 2006.)に準じ、オトガイ神経をオトガイ孔から露出した部分で切断し、さらにオトガイ孔に小穿孔を加え完全な神経損傷モデルとした。移植するOECの採取は同種wistar系ラットの頭蓋骨側方から嗅球前方下部の鼻腔側壁を開窓し、鼻腔上壁に存在する嗅上皮をマイクロ手術用顕微鏡下に鼻腔粘膜とともに摘出した。採取した嗅上皮を神経損傷モデルのオトガイ孔部に移植し経過観察を行い、移植した嗅上皮と移植された下歯槽神経の経過について形態的観察を行った。 その結果、非移植群では下歯槽粗神経が肉芽化し下顎管が新生骨で満たされたのに対し、移植群では移植部下歯槽神経周囲の下顎管の空洞形態は維持され、既存の神経線維からSchwann細胞の侵入を認めた。また、嗅粘膜移植部には変性や壊死に至る神経線維のほかに、多くのS100タンパク陽性細胞とNFP陽性線維を認め、損傷部の神経線維内に再生神経線維が出現していることが確認できた。これにより本研究における嗅粘膜移植が下歯槽神経損傷部の神経再生に有用であり、臨床的にも下歯槽神経損傷によって失われた機能を回復させる手段として有効であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)