2010 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の機序的膜作用の再検証:生体膜ラフトならびに特異的膜脂質との相互作用
Project/Area Number |
20592381
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
土屋 博紀 朝日大学, 歯学部, 教授 (30131113)
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Keywords | 麻酔薬 / 生体膜 / 相互作用 / 膜脂質 / ラフト / 薬物立体構造 / 構造特異性 / 薬理学的機序 |
Research Abstract |
麻酔薬の構造に特異的な主作用・有害作用に関し、マイクロドメイン・脂質ラフトや特定脂質組成に着目して生体膜と麻酔薬の機序的相互作用を検証した。その結果、以下のような成果を得た。また、研究最終年度にあたり、平成20~22年度の実験結果を統合・応用するとともに研究を集大成した。 1. 生体膜ラフトとの相互作用:種々のラフトモデル膜にブピバカインやリドカインを作用させて膜流動性変化を測定した結果、局所麻酔薬の作用機序としてラフトとの特異的相互作用が関与する可能性は低いことが示唆された。生体膜ラフトと麻酔薬の関係に、新知見を加えるものである(成果発表雑誌:Journal of Anesthesia)。 2. 特定膜脂質との相互作用:カルジオリピンやコレステロールの組成を変えた心筋細胞モデル膜に臨床濃度のS(-)-、R(+)-、rac-ブピバカイン等を作用させた結果、キラリティーの高いコレステロールを心筋細胞に相当する40mol%以上含む膜に対しては局所麻酔薬が立体構造に特異的な膜作用を示した。また、膜作用強度は、局所麻酔薬エナンチオマー間の心毒性強度と相関した。麻酔薬の立体選択的心毒性に、コレステロールが関与する新規作用機序を提唱するものである(成果発表雑誌:Bioorganic & Medicinal chemistry)。 3. 応用研究:基礎的研究で確立した実験方法を、周術期に用いるβ1遮断薬や生体内の神経活性アルカロイドに応用した結果、膜作用強度の相違を利用した選択的/非選択的β1遮断薬の新規分類の可能性と膜流動性変化と関連したβ-カルボリンの抗血小板作用という、生体膜相互作用に基づく薬理学的知見を得た(成果発表雑誌:European Journal of Anaesthesiology、 Pharmacological Reports)。
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Research Products
(7 results)