2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノマテリアルを応用した歯科矯正用FRP審美ワイヤーの開発
Project/Area Number |
20592385
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山方 秀一 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 助教 (70292034)
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Keywords | 歯当 / 歯科矯正 / 複合材料 / ナノ材料 / モンモリロナイト / 機械的特性 / 審美 |
Research Abstract |
当該年度では、層状珪酸塩鉱物のうち食品や医薬品などの添加物に使用されているモンモリロナイト(MMT)に着目し、4級アンモニウム塩により有機化されたMMTとPMMAとのコンポジット化に成功し、その特性の評価を行った。 複合化には直接分散法を利用し、室温下で有機化MMT(S-BEN NZ70、ホージュン)をアセトン中に分散させた後、含有率が1,2,4wt%となるようPMMA(アクリペットMD、三菱レイヨン)を加えて4時間の混練を行った。次に、分散液をペトリ皿に移し、ドラフト内で24時間の溶媒の揮発、60℃の乾燥器での72時間の乾燥を経由してPMMA/MMTコンポジットを得た。さらに、230℃での圧縮成形を行い15×40×1mmの試験片とした。MMTの分散状態の確認には、目視での観察ならびにX線回折測定(XRD)による評価、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察を行った。なお、XRDでは、結晶質混合物の検出限界に鑑み20wt%および40wt%の試料も用いた。機械的特性試験には引張圧縮試験機を用いた3点曲げ試験を行った。 目視によるMMTの分散性は含有率によらず良好であった。XRDのチャートの5~10°における明瞭なピークの検出から、001面における層間距離の増加が確認された。TEM像から、シリケート層はその底面間距離が20~60Åに広がった状態で分散しており、一部ではPMMAの分子鎖が入り込んだ層間挿入型ナノコンポジットの様相を呈する部分が確認された。曲げ試験の結果から、PMMA/MMTコンポジットはすべてPMMA単体より弾性率が高く、かつMMT含有率が高いほど弾性率が高かった。 誘電率の高い極性溶剤はMMT添加による増粘が生じにくく、混練時に比較的高い剪断力を加えられるため、MMTが良好に分散したと推測できる。本作製方法はインターカレーションを生じさせる有効な手段であると考えられる。
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Research Products
(2 results)