2010 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子クロックを介した、血管新生概日リズム調節機構の同定
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20592393
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細道 純 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00420258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 芳良 東京医科歯科大学, 重学部附属病院, 講獅 (20292980)
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Keywords | 機械的刺激 / 血管新生 / 歯周組織 / VEGFR-2 / β遮断薬 |
Research Abstract |
生体への機械的刺激は、歯周組織の改造現象において重要な因子である。本研究課題では、機械的刺激が歯周組織の改造へ及ぼす影響について着目し、平成22年度に、咬合刺激による(1)血管新生受容体を介した矯正移動歯の歯周組織の改造機序の解明及び(2)交感神経系を介した歯槽骨代謝への影響の検討について取り組んだ。咬合喪失により歯根膜は低機能状態になり、歯根膜血管新生のバランスが崩れ、歯根膜血管の退行性変化が生じる。(1)では、血管新生因子VEGFの受容体であるVEGFR-2を介した歯根膜の血管新生に着目し、咬合刺激低下が歯の矯正移動様式へ与える影響とその機序を組織生化学的に検討した。実験手法としては、ラット臼歯咬合刺激低下モデルを作製し、さらに咬合喪失した臼歯の実験的矯正移動を行った。移動後、臼歯の移動及び周囲骨の変化をマイクロCTにより評価し、また非脱灰新鮮凍結切片を作製し、血管新生及び細胞死の評価を組織学的に行った。結果、咬合刺激低下歯は正常歯と比較して、傾斜移動を呈し、また矯正移動量の増加率が有意に小さいことがわかった。組織学的観察から、移動開始後、正常歯では血管数及びVEGFR2の発現が経時的に増加したが、咬合刺激歯では移動開始3日後まで有意に減少した。よって咬合刺激低下歯の矯正移動の様式は咬合歯とは異なり、その機序として歯根膜内の血管新生の抑制が示唆された。(2)では、交感神経系を介した歯槽骨代謝への影響について解明する目的のもと、ラット咬合刺激低下モデルを用いて交感神経受容体遮断薬であるβ遮断薬を投薬し、CT解析及び組織学的解析を行った結果、咬合刺激低下による骨吸収、骨密度の低下に対して、交感神経受容体遮断薬は抑制効果を示すことが明らかとなった。
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