2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯の他家移植治療法の基盤となる歯根膜細胞の分化誘導法の確立
Project/Area Number |
20592394
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 Niigata University, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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Keywords | 他家移植 / 歯根膜 / 歯髄 / 象牙芽細胞 / 骨芽細胞 / ネスチン / オステオポンチン / GM-CSF |
Research Abstract |
歯の損傷後の歯髄および歯根膜治癒過程における象牙芽細胞分化機構ならびに歯根膜分化機構を解明することを目的に、歯の再植・移植後の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびオステオポンチン(OPN)の反応を免疫細胞化学的に検索した。 深麻酔下で2~3週齢上顎第一臼歯再植および臼歯抜去後に歯または歯冠部を舌下部へ自家・他家移植した。術後1日~2週後にアルデヒド系固定液で灌流固定し、EDTA脱灰後、パラフィン切片を作製し、抗GM-CSF・抗OPN・抗ネスチン抗体を用いた免疫染色を行った。なお無処置群の左側臼歯を対照群とした。 対照群歯髄では、咬頭頂領域を中心に歯髄・象牙質界面に弱いオステオポンチン陽性反応が見られ、象牙芽細胞はネスチン強陽性を示したが、歯髄内はGM-CSFは陰性であった。術後に歯髄のネスチン免疫陽性反応が消失したが、3~7日後に、GM-CSF陽性細胞、OPN陽性細胞の出現に引き続き、ネスチン陽性象牙芽細胞様細胞が歯髄・象牙質界面に再配列した。14日後には歯髄腔に骨組織形成が惹起されたが、骨芽細胞がOPN陽性反応を示した。GM-CSF陽性反応産物は象牙細管内にも見られ、既存の象牙質と再生象牙質の界面にOPN陽性反応が観察された。さらに、in situ hybridizationによりOPN遺伝子発現を検索すると、免疫反応とほぼ同じ発現パターンを示した。以上より、歯の再植・移植後の歯髄治癒過程における象牙芽細胞の分化には、GM-CSF発現とOPN発現が重要な役割を果たす可能性が示された。
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