2010 Fiscal Year Annual Research Report
汎用有限要素法を用いた歯科矯正移動のシミュレーション方法の開発
Project/Area Number |
20592397
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 之夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 準教授 (00144189)
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Keywords | 歯科矯正 / 歯の移動 / 有限要素法 |
Research Abstract |
平成21年度までにおいて,汎用有限要素法を用いて,長時間にわたる歯の移動をシミュレーションする方法がほぼ確立できた.この方法では,歯科用CTの撮影画像から,モデル作成ソフトウェア3D-Doctorおよび要素分割ソフトウェアANSYS/AI*Environmentを用いて,歯の有限要素法モデルを作成する.これを用いて,歯に作用する力と動揺状態との関係(動揺マトリックス)を計算する.次に,以下の手順によって,歯の矯正移動をシミュレーションする.(1)スプリングの有限要素法モデルを用いて歯に作用する力とモーメントを計算する.(2)力とモーメントから歯の動揺量を計算する.(3)動揺量に基づいて歯を移動する.(1)~(3)の計算を繰り返せば,歯が移動していく.歯に作用する力系は,移動に伴って更新される. 平成22年度では,以上の方法を用いて,上顎犬歯を遠心方向へ牽引する場合をシミュレーションし,計算方法の妥当性を検討した.その結果,スプリングと歯との結合状態が強すぎると,繰返し計算が安定に行えないことがわかった.すなわち,歯の移動に伴って,スプリングに非常に大きい力が発生し,繰返し計算が発散した.この現象を防ぐために,スプリングと歯を連結しているビーム要素の曲げ剛性をやや小さくした.この方法によって,歯の移動のシミュレーションがうまく行えるようになった.この問題の対処にかなりの時間を要した.そのため,当初予定していた歯科矯正のいろいろなケースのシミュレーションが実施できなかった.
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