2009 Fiscal Year Annual Research Report
CO_2レーザー存用いた矯正学的歯の移動時における疼痛軽減メカニズムの解析
Project/Area Number |
20592401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 徹 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (30346457)
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Keywords | 歯の移動 / 神経ペプチド / レーザー / 三次元形態計測 / 骨細胞 |
Research Abstract |
我々は、矯正臨床において、CO_2レーザーを用いた歯の移動時における疼痛軽減の効果を報告した(Angle Orthod.2008)。しかし、歯の移動時におけるCO_2レーザーの疼痛軽減の機序は全く解明されていないことから、去年ラットをモデルとして、実験的歯の移動時におけるCO_2レーザーの疼痛軽減の効果を中枢側(中脳路核)および末梢(歯髄、歯根幕)において検証を行った。 その結果、歯の移動時に伴い、中枢で増加する事が知られている痛み発生物質(c-fos)の発現がCO_2レーザー照射後に有意に減少する事が明らかとなった。また、過度なレーザー照射等は末梢組織に為害作用があることが知られているが、末梢神経組織のマーカーとしても知られるカルシトニン遺伝子関連ペプチド:CGRPおよびPGP9.5等の発現にCO_2レーザー照射後全く変化を認めなかった。さらに、CO_2レーザー照射後の温度変化を計測した結果、いずれの照射強度、時間においても40°を超えることはなく、人体に影響を与えることはないことが示唆された。以上よりCO_2レーザー照射は、中枢に発現するc-fos蛋白の発現を抑制することにより、歯の移動時に認める痛みを軽減する可能性が示唆された。さらに、CO_2レーザー照射による末梢組織の損傷等は認められないことが推測され、為害作用は少ないと思われる。よって、今回検証を行ったCO_2レーザーは矯正学的歯の移動時の痛み軽減に有効であることが示唆された。これらの研究から得られた成果は、今年3月にJournal of Dental Researchに掲載された(Journal of Dental Research.2010)。
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