2010 Fiscal Year Annual Research Report
CO_2レーザーを用いた矯正学的歯の移動時における疼痛軽減メカニズムの解析
Project/Area Number |
20592401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 徹 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (30346457)
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Keywords | 歯の移動 / C-fos蛋白 / レーザー / 三次元形態計測 / グリア細胞 / アストロサイト |
Research Abstract |
本研究の目的は矯正歯科治療に伴う痛みに対するCO_2レーザーの軽減効果のメカニズムを解明することである。本申請者らはすでに歯の移動時に認める痛みマーカーの発現の分析を末梢及び中枢で行い、CO_2レーザー照射による影響を基礎的(Journal of Dental Research, 89:537-42, 2010)または臨床的(Angle Orthod. 78:299-303, 2008)に報告した。しかし、今まではCO_2レーザーの即発性の痛みにおける効果の分析にとどまり、矯正歯科治療に特徴的な遅発性の痛みにおける効果は未だ不明である。そこで新たに遅発性の痛みの指標となりえるアストロサイトおよびグリア細胞の歯の移動時の変化およびCO_2レーザー照射による影響の分析を行った。その結果、実験的歯の移動後、ラット中枢神経(三叉神経主知覚核、尾側亜核、吻側亜核)領域において、アストロサイトおよびグリア細胞の増加を認めた。アストロサイトおよびグリア細胞は尾側亜核において5日後に、吻側亜核では7日後に最も著しい増加を認めた。さらに、痛みマーカーであるc-fos蛋白およびカルシトニン関連遺伝子(CGRP)とアストロサイトおよびグリア細胞の共存性を検証したところ、c-fos蛋白が歯の移動後3~5日後において増加を認めた。マイクログリアにおいてc-fos蛋白と共存を認めた細胞は、5日後に尾側亜核および吻側亜核に最も著しい増加を認めた。一方、アストロサイトにおいて、c-fos蛋白と共存を認めた細胞は、尾側亜核では5日後、吻側亜核では7日後に最も著しい増加を認めた。CGRP陽性細胞においては特に著名な変化は認められなかった。以上の結果より歯の移動時に特徴的に起きる遅発性の痛みにアストロサイトおよびグリア細胞が関与し、痛みの伝達および調節に深く関わることが示唆された。
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