2010 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群における歯列への副作用の少ない口腔内装置の臨床応用
Project/Area Number |
20592403
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 宏 広島大学, 病院, 講師 (20304446)
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Keywords | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 下顎前方保持型口腔内装置 / 上下床一体型装置 / 上下床可動型装置 / ひずみ測定 |
Research Abstract |
睡眠時無呼吸症候群の歯科分野治療には、気道拡大を目的とした下顎前方保持型口腔内装置が多用されており、これらは上下床一体型装置と可動型装置に大別される。本研究では二種類の下顎前方保持型装置装着中による装置のひずみを上下顎前歯部と上下顎大臼歯部に分けて計測し、歯列への影響を解明することにした。 実験内容を十分説明し、同意の得られた成人ボランティア8名を対象とした。選択条件は1)個性正常咬合を有する、2)顎関節の臨床症状がない、3)上下歯数が27本以上、4)歯や歯周組織が健康である、とした。上下前歯部および臼歯部にひずみ測定ゲージを貼付した2種類の下顎前方保持型口腔内装置を仰臥位にて装着中させ、短時間測定として下顎安静位で1分間、長時間測定として安静状態下で1時間のひずみ測定を行うことにより、歯列に作用する負荷の定量を行った。 その結果、以下の所見が明らかになった。 歯列に加わるひずみは下顎前歯部では唇側方向、上顎前歯部では舌側方向、上下顎第一大臼歯部では頬側方向に作用していた。部位別のひずみの大きさについては、上下床固定式装置では上顎前歯部より下顎前歯部が、前歯部と大臼歯部の比較では上下顎とも前歯部にかかるひずみが、いずれも有意に大きな値を示した。一方、上下床可動式装置では上下前歯部に作用するひずみの大きさに差を認めなかった。 上記の結果から、下顎前方保持型装置を介して歯列に負荷されるひずみの大きさや方向が明らかとなった。睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の使用は長期間に及ぶため、装置を介して歯列に加わるひずみを十分考慮する必要のあることが示唆された。
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