2009 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠中の口腔環境-pHモニタリングとQLFによるエナメル質脱灰の評価-
Project/Area Number |
20592412
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
渡部 茂 Meikai University, 歯学部, 教授 (60113049)
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Keywords | 口腔内環境 / 唾液 / PH / 緩衝能 / 清涼飲料 / 脱灰 / 再石灰化 / QLF |
Research Abstract |
今年度は無線pH計が完成しなかったので、清涼飲料摂取時の口腔内pHの変化について研究を行なった。 清涼飲料摂取後の口腔内pH変化と歯の脱灰に対する唾液の影響を明らかにする目的で、1. 清涼飲料摂取前後の全唾液分泌速度およびpHの経時的測定、2. 機械的刺激唾液に対する清涼飲料の滴定実験、3. 牛歯に対する清涼飲料による脱灰と唾液の脱灰抑制効果について検討を行った。 その結果、1. 被験者(10名)の100%オレンジ果汁飲料(pH3.8)摂取後5分間において唾液分泌速度とpH間には負の相関がみられた.その間の全唾液分泌量は平均4.3mlで、無刺激唾液分泌量の約2.8倍を示した。また唾液pHが臨界pH(5.4)を下回った被験者(4名)は全員60秒以内に回復を示した。2. 平均pH7.7を示した被験者の刺激唾液に清涼飲料を滴定し、臨界pHまでpHを低下させるのに要する量を、同じpHに調整した蒸留水と比較した結果、炭酸飲料(pH2.2)とスポーツ飲料(pH3.5)では唾液が蒸留水の約7倍、100%オレンジ果汁飲料では同様に約4倍の量を示し、唾液の持つ酸緩衝能が定量的に確認された。また同実験で3種の清涼飲料の滴定量を比較した結果、最もpHが高い100%オレンジ果汁飲料が最低量を示し、同飲料に含まれる有機酸の緩衝能の高さが示された。これにより、清涼飲料による歯の脱灰を考える際には溶液のpHだけではなく、その溶液中の酸による緩衝能の存在も考慮する必要があることが示唆された。3. 清涼飲料へ唾液を混入し、清涼飲料による牛歯の脱灰程度をQLF法で評価した結果、唾液混合時には蒸留水混合時に比較して有意な脱灰量の減少が確認された。
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Research Products
(3 results)