2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメカニカルシミュレーションを用いた矯正診断法の確立
Project/Area Number |
20592414
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
槙 宏太郎 Showa University, 歯学部, 教授 (80219295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 徹太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (40384193)
伊能 教夫 東京工業大学, 理工学部, 教授 (70126308)
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Keywords | 歯科矯正学 / シミュレーション |
Research Abstract |
形態情報と機能情報を統合したバイオメカニクス解析から、咀嚼に最適な咬合状態や歯列位置の予測と評価を行うシステム開発を最終目的としている。本年度は、(1)CT値の検証、(2)力学解析およびシミュレーションを具体的な目標とし、結果は以下の通りであった。 (1)コーシビニムX線CTの定量性の確立:検出器の大型化・高速化に伴い、高画質かつ等方性有する非常に汎用性の高い検査機器となったにも関わらず、濃度値の定量性を示さないという点から、顎骨の骨密度などの機能的情報を抽出する診断装置としての有用性は皆無であった。そこで本研究では、画像再構成方法に検討を加え、それまでは不可能であったコーンビームX線による生体骨組織のカルシウム含有量の定量測定法を確立した。現在、同様の装置は世界各国で製造されているが、定量化を実現したのは他に類をみない画期的な手法となっている。(2)コーンビームX線CTデータを用いた力学解析手法の確立:従来は、一定のモデルを用いて、おおよその傾向を解析するだけに限られていたが、モデル化に関する一連の本手法を適用することによって、それぞれの患者における高精度での解析が可能となった。さらに、この診断精度の飛躍的に向上した画像再構成手法を組み込むことで、正確なCT値をもとにした顎骨の力学モデルの構築により、非常に高精度で現実に即したバイオメカニクス解析が可能となった。また、高速、低被爆を実現した検査機器を使用することにより、相当数の資料採得が可能であった。<本業績による今後の学術的影響>生体における力学解析の精度が飛躍的に改善されるとともに、骨変形症などの病態解明に重要なツールとして注目されると考えられる。これにより、力学環境(咀嚼,歩行,就寝,運動など)と生体組織の反応性との関連がより明確にされ、骨代謝学をはじめ、スポーツ医学,老年医学,宇宙医学などへの高精度の情報提供が予想される。
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